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祐筆
「祐筆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
祐筆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
てゆく去年の冬の初めであった。 旗本屋敷の中小姓がおもな勤めは、諸家への使番と
祐筆《ゆうひつ》代理とであった。人品がよくてお家流を達者にかく林之助は、こうした....
「忠直卿行状記」より 著者:菊池寛
何人《なんびと》よりも命中矢《あたりや》を出したことや、習字の稽古の筆を取れば、
祐筆の老人が膝頭を叩いて彼の手跡を賞賛したことなどが、皆不快な記憶として彼の頭に....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ござったな」 「殿さまのお手紙とかを書くお役目にござりました」 「ほほうのう。ご
祐筆《ゆうひつ》でござったのじゃな。では、剣術なぞのご修業は自然うとかったでござ....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ざります」 「松坂|甚吾《じんご》とおいいじゃ」 「お役は何でござります」 「奥
祐筆《おくゆうひつ》じゃ」 「奥
祐筆……! なるほど、そうでござりましたか」 ....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
うおっしゃるの」「へえ元は何だったんです」「何でも天璋院《てんしょういん》様の御
祐筆《ごゆうひつ》の妹の御嫁に行った先《さ》きの御《お》っかさんの甥《おい》の娘....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
平があっても自分の罪ではないと言う。駿河は甘んじてその責めを受けた。書面は同行の
祐筆が認めた。老中松平伯耆守、同じく松平周防守、同じく小笠原壱岐守の名が書かれた....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
したやっこ》ならば知らぬこと、ビタちゃんとしてはいささか気がさすねえ、なあに、御
祐筆《ごゆうひつ》の方へ申し込めば、御
祐筆はみんなお人よしぞろいだから、ビタちゃ....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
黒い菊石面《あばたづら》で、お媼さんは四角い白っちゃけた顔の、上品な人で、昔は御
祐筆《ごゆうひつ》なのだから手跡《しゅせき》がよいという評判だった。御新《ごしん....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
を聞いていた対馬守、お小姓をしたがえて奥へおはいりになった。するとしばらくして、
祐筆《ゆうひつ》に命じて書かせた大きな提示が、広間に張り出されました。
一、天....
「わが血を追ふ人々」より 著者:坂口安吾
ゞこの古戦場を見るために帰りの旅に陸路を選んだ甚兵衛は感無量であつた。小西行長の
祐筆の家に生れた彼は幼少のため関ヶ原の合戦に参加せず、故郷の宇土で主家の没落を迎....
「稚子法師」より 著者:国枝史郎
主水は訊いた。 「八万億劫の地獄へ参る」 「何用あって参られます?」 「閻羅王、
祐筆を求めるに依ってな――」 「私もお供致しましょう」 「今はならぬ、やがて参れ....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
い小屋さえ出来た。
調所は、金網のかかった火鉢へ手を当てて、猫背になりながら、
祐筆に、手紙の口述をしていた。
諸国和製砂糖殖え立、旧冬より直段《ねだん》、礑....
「旧藩情」より 著者:福沢諭吉
なわち上等は儒者、医師、小姓組《こしょうぐみ》より大臣《たいしん》に至り、下等は
祐筆《ゆうひつ》、中小姓《なかごしょう》旧厩格供小姓《ともごしょう》、小役人《こ....
「奥の海」より 著者:久生十蘭
京都所司代、御式方《おしきかた》頭取、阪田出雲の下役に堀金十郎という渡り
祐筆がいた。 御儒者衆、堀玄昌の三男で、江戸にいればやすやすと御番入《ごばんい....
「巷説享保図絵」より 著者:林不忘
ているのだ。日夜いっしょにいるのである。惣七とお高のあいだが、いつしか単なる女|
祐筆《ゆうひつ》とその主人の関係以上に進んでいたとしても、それは、きわめて自然だ....