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「神さび〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

神さびの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
神社合祀に関する意見」より 著者:南方熊楠
殿、遙拝所の十八建築なければ設備全しと言うべからずとて、いかに神林大いに茂り四辺神さびたる神社を見るも、設備足らずとてこれを滅却す。今時かかる設備全き神社が、官....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ませんが、総門から中門までのあいだ一丁あまりは大きい松並木が続いていて、すこぶる神さびたお社でした。社内にも松杉がおい茂っていて、夏なんぞは蝉の声がそうぞうしい....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
力は、いかにも富士の本宮として、人類が額ずくべき御堂を保ち得たことを喜ぶばかり。神さびた境内にたたずんで、夜山をかけた参詣の道者が、神前に額ずいての拍手を聞きな....
死者の書」より 著者:折口信夫
は言え、語部の古婆の心は、自身も思わぬ意地くね悪さを蔵しているものである。此が、神さびた職を寂しく守って居る者の優越感を、充すことにも、なるのであった。 大貴族....
姨捨」より 著者:堀辰雄
が、その折は又|円融院《えんゆういん》の御世からお仕えしているとか云う、いかにも神さびた老女が居合わせて、昔の事などなつかしそうに物語り出し、しまいにはよく調べ....
大和路・信濃路」より 著者:堀辰雄
する。まだかなり遠いようではございますが。ここでございますか、ここはなんだかこう神さびた森で。……」 老いたる父はその森が自分の終焉《しゅうえん》の場所である....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
……左様でございます。格別異っても居りませぬが、ただ現界の山よりは何やら奥深く、神さびて、ものすごくはないかと感じられる位のものでございます。私達の辿る小路のす....
源氏物語」より 著者:紫式部
た。左中弁《さちゅうべん》が講師の役をしたのである。きれいな男の左中弁が重々しい神さびた調子で詩を読み上げるのが感じよく思われた。この人はことに深い学殖のある博....
源氏物語」より 著者:紫式部
のであるが、次のようなお歌が中にあった。 さしながら昔を今につたふれば玉の小櫛ぞ神さびにける これを御覧になった院は身にしむ思いをあそばされたはずである。縁起....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
や斯くばかり恋にしづまむ手童の如」(巻二・一二九)があり、「いそのかみ布留の神杉神さびて恋をも我は更にするかも」(巻十一・二四一七)、「現にも夢にも吾は思はざり....
故郷」より 著者:井上紅梅
いよ」 「おお、閏土! ずいぶん昔のことですね」 この時わたしの頭の中に一つの神さびた画面が閃き出した。深藍色の大空にかかる月はまんまろの黄金色であった。下は....
日記」より 著者:宮本百合子
宮の建物は、さすがに大きな材木をつかい、念を入れてはあるらしいが、一見、何となく神さびたと云う感が来ない。此点では春日明神におとること数倍、勿論年代を経ないと云....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
。 綾麻呂 (遠く不尽を望みながら、朗々と朗誦し始める)…… 天地の 分れし時ゆ神さびて 高く貴き 駿河なる 布士の高嶺を 天の原 ふり放け見れば 渡る日の 影....
火と氷のシャスタ山」より 著者:小島烏水
タには、未だそういうものは、何にも出ていない(あたかも富士山が「天地の別れし時ゆ神さびて」とか、古くから言われていながら、今日では、ややともすると、最近発見の日....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
た。狭い頂上に敷き詰めてある丸い小石は、登拝者の持って来たものであろう。小さいが神さびた神殿の柱や扉に、見るもうとましい楽書が汚らしく書きなぐってある。黄揚羽が....