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「禁慾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

禁慾の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
新生」より 著者:島崎藤村
ものがこの眼に見えない幽囚は寧《むし》ろ当然のことのようにも思われた――孤独も、禁慾も。 百十三 この侘《わび》しい冬籠りの中で、岸本の心....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
とを峻別し得るものの如く考えて、その一方に偏倚するのを最上の生活と決めこむような禁慾主義の義務律法はそこに胚胎されるのではないか。又本能を現実のきびしさに於て受....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
「仏陀の教えこそ讃美べきかな。それは隠遁の教えではない。勇往邁進建設の教えだ。禁慾の教え、克己の教えだ。……妾はすぐに殺されよう。妾はすぐに火炙りに成ろう。し....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
わななかしつつさ迷い出た。しかも……呉青秀のこうした心理の裡面には、その永い間の禁慾生活によって鬱積、圧搾された性慾が、疼痛く程の強烈な刺戟を続けていたに違いな....
秋霧」より 著者:宮本百合子
美くしさに劣るまい。 霞は人の心を引きくるめて沙婆のまんなかへつれて来る。霧は禁慾的な、隠遁的な気分に満ちて居る。 私は今の処は霧の方を好《す》いて居る。 ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
快楽にたいして無関心なばかりではなかった。パリーにたいする反発から、一種の精神的禁慾主義に陥っていた。純潔にたいする熱烈な要求とあらゆる醜汚にたいする嫌悪《けん....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
哲学や世の進歩にかかわらず、修道院的精神は十九世紀のさなかに残存している、そして禁慾主義のおかしな再興が今や文明社会を驚かしている。古き制度のなお永続せんとする....
銀三十枚」より 著者:国枝史郎
楊、橄欖の林であった。イエスはその中へ入って行った。そこへは月光は射さなかった。禁慾行者の禅定のような、沈黙ばかりが巣食っていた。 突然イエスは自分の体を、大....
二十歳のエチュード」より 著者:原口統三
れちゃいけないよ、という意味か。ふん、僕を詩人や小説家と一緒にされて堪るものか)禁慾者、修道僧の面影が見えるんだ。それなのに、君は他人に対しては、同じ修道僧であ....
江戸芸術論」より 著者:永井荷風
偉大なる人間の活力を想像し賞讃《しょうさん》措《お》く能はざりしなり。彼は清浄と禁慾を主としたる従来の道徳及び宗教の柵外《さくがい》に出《い》で、生活の充実と意....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
精根のやり場に困っている姿だ。 そうだろう、あの好色なお十夜が、お綱を見てから禁慾同然、ボロ買いをせず辻斬りも無駄にはせず、かつ、職業というものがない。すべて....