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「私事〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

私事の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
小作人への告別」より 著者:有島武郎
八月十七日私は自分の農場の小作人に集会所に集まってもらい、左の告別の言葉を述べた。これはいわば私の私事ではあるけれども、その当時の新聞紙が、それについて多少の報道を公けにしたので....
仇討禁止令」より 著者:菊池寛
お心なればこそ、拙者に中座せよといわれたのであろう。しかし、先ほども申した通り、私事私事、公事は公事。この場合左様な御|斟酌は、一切御無用に願いたい」と、はっ....
自叙伝」より 著者:大杉栄
。そして研究会ではよく宗教の問題が持ちあがった。しかし幸徳や堺等は、宗教は個人の私事だというドイツ社会民主党の何かの決議を守って、同志の宗教にはあえて干渉しなか....
高島異誌」より 著者:国枝史郎
、さも大事そうに抱いていたが、幾度も幾度も辞儀をして、偖夫れから斯う云った。 「私事は〈蟇の池〉に住む多くの蟇の主でございますが、貴郎様には此年頃、大方ならぬ保....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
時にわかに一礼し、 「これはどなたか存じませぬが、お人違いではございませぬかな。私事は高遠の家中、鏡葉之助と申す者、猪太郎ではございませぬ」 「さようさよう只今....
獄中消息」より 著者:大杉栄
ようになっている。 志津野の子が生れたそうだね。まつのさんはどうか。この手紙は私事ばかりだから人に見せるに及ばぬ。もうあとが三日、四日には会える。さよなら。 ....
嫉みの話」より 著者:折口信夫
びつき)のほう、宗教のほうから、これを排斥している。だから、だんだんと家族の中の私事になってゆき、外へもって出ぬことになって、「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」などと言う....
稚子法師」より 著者:国枝史郎
其事情を聞き度いものだ」 「お安いご用でござります。それではお話し致しましょう。私事は司門と申して此真田家の五代前の主人に仕えていたものでござります。主人和泉の....
加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
どなたか存じませぬが、あぶないところをお助けくだされ何んとお礼を申してよいやら、私事は日本の武士小豆島紋太夫にござります」 こう恭しく云いながら丁寧に腰をかが....
郷介法師」より 著者:国枝史郎
だと云う老人を連れて、さも周章しく駈け込んで来た。手足から鮮血を流している。 「私事は浮田の家臣岡郷介と申す者、寃罪によりまして、主人のためかくの如きの折檻、あ....
三重宙返りの記」より 著者:海野十三
せた。最悪の状況下にある自分のからだを駆って、よくも宙返りに耐えたということは、私事ながら、実に大きな収穫であった。病気のときは、進んで特殊飛行を志願することに....
剣侠」より 著者:国枝史郎
傍らへピタリと坐ると、 「ええこれは木曽の馬大尽様事、井上嘉門様に申し上げます。私事は八五郎と申し、猪之松身内にござります。ふつつか者ではござりまするが、なにと....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
えていない。右眼が明を失ったのは九輯に差掛った頃からであるが、馬琴は著書の楮余に私事を洩らす事が少なくないに拘わらず、一眼だけを不自由した初期は愚か両眼共に視力....
村の兄弟」より 著者:小川未明
もできるだろう。すぐれた人間が生き残って、社会のために働くということは、けっして私事ではないのだ。どうか、おまえは、生きていて、そして、ふたたび昔のようにじょう....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
に食道癌を病んで死んでしまった。本所の印象記の一節にこういうことを加えるのは或は私事に及び過ぎるのであろう。しかし僕はO君と一しょに両国橋を渡りながら大川の向う....