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私小説
「私小説〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
私小説の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「風の便り」より 著者:太宰治
、此の愚痴一つばかりは聞いて下さい。私は、批評家たちの分類に従うと、自然主義的な
私小説家という事になって居ります。それは、あなたが一口に高踏派《こうとうは》と言....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
なのである。私は、こうした形式の小説を、まず、何よりも先に書きたかったのである。
私小説《イヒ・ローマン》――それを一人の女の、脳髄の中にもみ込んでしまったことは....
「世相」より 著者:織田作之助
リズムに徹しているのではなかろうか。そしてまた、虚飾と嘘の一つもない陳述はどんな
私小説もこれほどの告白を敢てしたことはかつてあるまいと、思われるくらいであった。....
「青春論」より 著者:坂口安吾
人は色々の微妙な秘密を見つけだして生活しているものである。特に宇野さんの小説は、
私小説はもとより、男の子の話だの、女流選手の話だの老音楽夫人の話だの、語られてい....
「わが思想の息吹」より 著者:坂口安吾
実話と見るのは間違っている。これは小説なのである。 なぜなら、あれは、いわゆる
私小説とは趣きを異にしている。
私小説というものは、事実を主体とするものであるが、....
「未来のために」より 著者:坂口安吾
れないではないか。 ところが、日本文学の伝統は、特に近代以降の日本文学の伝統は
私小説、つまり、作家の生活の偽らざる複写をもつて文学の正統としている。志賀直哉を....
「お魚女史」より 著者:坂口安吾
されるものであるが、この時ばかりは、私も心胆がつめたくなってしまった。 「それ、
私小説?」 と、私がきくと、とたんにマッカになって、身をくねらせて、 「あらア....
「志賀直哉に文学の問題はない」より 著者:坂口安吾
しを受ける方法があるが、小説で罪を肯定して安定するという方法はない。こゝに日本の
私小説の最大の特色があるのである。 神父に告白して安定する苦悩ならば、まことの....
「スポーツ・文学・政治」より 著者:坂口安吾
文学者として駄目だ。女学生の恋愛感情の機微などよくとらえて楽しそうに書いている。
私小説は書いていない。あんな風にコムミュニスト作家がなるとたのしいんだがなあ。中....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
と、この乱世の豪傑の非凡な業績は分らない。 この一二年、田中が書きなぐっている
私小説に現れてくる飲みっぷりの荒っぽさは、けっして誇張でなく、むしろ書き足りてい....
「四月馬鹿」より 著者:織田作之助
の中に弥生さんというひとの姿を鮮かに泛び上らせていた。話そのものは味が淡く、一見
私小説風のものだが、私はふとこれは架空の話ではないかと思った。 武田さんが死ん....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
小説の端の歩を突く新しさもなかったことは、私にとっては不満であった。一刀三拝式の
私小説家の立場から、岡本かの子のわずかに人間の可能性を描こうとする努力のうかがわ....
「吉岡芳兼様へ」より 著者:織田作之助
てみて下さい。僕には作風をかえる上からも「私」が必要だったのです。といって、僕は
私小説を書いたのではありません。また、坂田三吉を書いたのではありません。 この....
「土足のままの文学」より 著者:織田作之助
はもののあわれではない。もののあわれへのノスタルジアや、いわゆる心境小説としての
私小説へのノスタルジアに憧れている限り文壇進歩党ははびこるばかりである。といって....
「チェーホフ試論」より 著者:神西清
し、フローベルには芸術の信仰が、モーパッサンには人間獣への復讐の快感が、わが国の
私小説家には卑小の礼拝というまことに手頃な宗教が、それぞれ有力な支えをなしていた....