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私怨
「私怨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
私怨の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神社合祀に関する意見」より 著者:南方熊楠
らつつき》となり、天王寺の伽藍を啄《つつ》き散らせしというが、和歌山県当局は何の
私怨もなきに、熊楠が合祀に反対するを悪《にく》み、十八昼夜も入監せしめたから、天....
「仇討禁止令」より 著者:菊池寛
左院の院議に付され、近々、復讐禁止令が出ることになっている。ことに、維新の際は、
私怨私欲のための殺人でなく、国家のために、止むを得ざるに出でた殺人であるから、そ....
「老中の眼鏡」より 著者:佐々木味津三
るな」 だが一瞬にその微笑が消えて、怒りの声が地に散った。 「愚か者達めがっ。
私怨じゃ。いいや、安藤対馬、堀織部正恩顧の者共なぞに恨みをうける覚えはないわっ。....
「李陵」より 著者:中島敦
の価値にも歴史家的な割引をすることを知っていた彼は、後王たる武帝の評価の上にも、
私怨《しえん》のために狂いを来たさせることはなかった。なんといっても武帝は大君主....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
がれいる※《はなかわ》を滑らしはずし、長尾驢《カンガルー》様に跳んで予《かね》て
私怨ある馬に尋ね到り、両馬暫く頭を相触れ鼻息荒くなり咆※《ほえまわ》り蹴り合う。....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
う。さて次に」と小一郎は、ここで一段声を張ったが、「一ツ橋家の爾余の方々、お互い
私怨とてはござらぬが、拙者は田安家のまず家臣、貴殿方は一ツ橋殿の家臣、近来田安家....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
よしと見たのではあるまいが、また、自分が逃げ出すことのできない腹癒《はらい》せの
私怨とのみは思われません。 全く、少しでも離れたところで見ていると、こうも人間....
「作家の像」より 著者:太宰治
裟な言いかたをすれば、私はいつでも、「人間歴史の実相」を、天に報告しているのだ。
私怨では無いのだ。けれども、そう言うとまた、人は笑って私を信じない。 私は、よ....
「南島譚」より 著者:中島敦
れ、老人自身も亦既に相当多額の賞金を貰っている筈だという。尤《もっと》も、時には
私怨から其の信者でない者迄告発して来ることも確かにあるらしいが、と其の知人は笑い....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
し、人々いずれも苦しんで居られる。そういう他人の苦難の際に、男を売物の渡世人が、
私怨の私闘は謹むべきだ」 「そうですねえ、そう云われて見れば、こいつ一言もありま....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
ゅそ》の術は、治国平天下への一秘法であって、大悲、大慈の仏心によるものであった。
私怨を以《もっ》て、一人、二人の人を殺す調伏は、呪道の邪道であり、効験の無いもの....
「学問のすすめ」より 著者:福沢諭吉
りごと》を害するのもっとも大なるものは暗殺なり。古来暗殺の事跡を見るに、あるいは
私怨《しえん》のためにする者あり、あるいは銭を奪わんがためにする者あり。この類の....
「迷信解」より 著者:井上円了
て妖怪屋敷の評判が高くなるのである。また、なにかその家あるいはその持ち主に遺恨、
私怨あるために、ことさらに作為して化け物屋敷などと言い触らすことがある。これはい....
「志士と経済」より 著者:服部之総
志士は反対意見で、建白書はこの問題から起筆してある。横浜焼討は、大老暗殺が水戸の
私怨でないゆえんを天下に表示するためだというが、「実は甚《はなは》だ愚策にて一己....
「大谷刑部」より 著者:吉川英治
勢を敵としていることに気がつかぬ」 「――だが、刑部」 「なんじゃ」 「山城は、
私怨私慾で兵を挙げたのではない――少なくとも、彼の血には、まだ故太閤殿下の」 「....