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「私慾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

私慾の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
草枕」より 著者:夏目漱石
不二《ふどうふじ》の乾坤《けんこん》を建立《こんりゅう》し得るの点において、我利私慾《がりしよく》の覊絆《きはん》を掃蕩《そうとう》するの点において、――千金《....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
事が心に満つれば、顔の醜美に拘わらず自ら悪相と為り、又善事にのみ心を委ね、一切の私慾を離れて唯良心の満足をのみ求めて居る人は、自ずから顔に高貴の相が出来、俳優《....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
「詭弁だ!」と卜伝は刎ね返した。「それら諸侯は乱世の華、また戦は自衛の道、私利私慾とは自ら異う! 何を云うか、人非人奴!」 「卜伝」と益々憐れむように、「剣を....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
ぜ」 凍えた両手を一生懸命に擦り合せながら石子刑事が答えた。 「僕達は何も私利私慾の為にやっているのではないぜ。公益の為にやっているのだ。僕達は社会の安寧を保....
死生」より 著者:幸徳秋水
る、震死する、轢死する、工場の器機に捲込れて死ぬる、鉱坑の瓦斯で窒息して死ぬる、私慾の為めに謀殺される、窮迫の為めに自殺する、今の人間の命の火は、油の尽きて滅す....
走れメロス」より 著者:太宰治
わしに教えてくれたのは、おまえたちだ。人の心は、あてにならない。人間は、もともと私慾のかたまりさ。信じては、ならぬ。」暴君は落着いて呟き、ほっと溜息をついた。「....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
もなかった。彼は親分に向って、彼の体力、智慧、才覚、根気、度胸、其様なものを従来私慾の為にのみ使う不埒を責め最早六十にもなって余生幾何もない其身、改心して死花を....
後の業平文治」より 著者:三遊亭円朝
けるために蟠龍軒の屋敷へ踏入り、悪事加担の奴ばらを切殺したりとは云いながら、これ私慾のためならず、世のため人のため、天に代って誅戮を加えたるに過ぎざれど、其の職....
学生と先哲」より 著者:倉田百三
に響かないはずはない。まして上行菩薩を自覚してる彼が、国を憂い、世を嘆いて、何の私慾もない熱誠のほとばしりに、舌端火を発するとき、とりまく群衆の心に燃えうつらな....
ヨーロッパ的性格 ニッポン的性格」より 著者:坂口安吾
乏、童貞、服従という三つの徳目をモットーといたしまして、人間個人の一切の私利とか私慾とかいうものを捨離して、神に仕えるという宗教であります。この宗派のこのモット....
つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
ん、 「ばかを申せ。あるやつが取られるのはあたりまえだ。それに、拙者らといえども私慾のための盗みではないぞ、国事だ。公用の資金だ。わかったか。わかったらこぼすな....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
かり華かな文化に飾られ、優雅な装いに塗りかくされてはいるけれど、人間達はみな我利私慾に惑っている。……「素朴な」人間の心を喪失している。都の人達はみんな利己主義....
日本男子論」より 著者:福沢諭吉
が多妻の醜行を犯して婦人の情を痛ましむるが如き、ただに自愛に偏するのみならず私曲私慾の最も甚だしきものにして、更に一言の弁論あるべからず。我輩は常に世の道徳論者....
本州における蝦夷の末路」より 著者:喜田貞吉
統治機関が紊れてしまい、国家の軍隊も、警察も、殆どその用をなさなくなる。地方官は私慾をのみ考えて、人民の福利などは一向眼中に無い。この様な場合に虐げられた民衆は....
耳香水」より 著者:大倉燁子
きたような話をする人もありました。処がまた、新に妙な話が伝えられました。彼はただ私慾を満足させるために殺人強盗をやるのではない、というのは殺人事件の行われた直後....