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「私憤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

私憤の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
猿蟹合戦」より 著者:芥川竜之介
》も、蟹に同情を寄せたものはほとんど一つもなかったようである。蟹の猿を殺したのは私憤《しふん》の結果にほかならない。しかもその私憤たるや、己《おのれ》の無知と軽....
山崎合戦」より 著者:菊池寛
を機会に信長の子孫を立てずに自分で天下を取ったのを、光秀はもっと積極的に、自分の私憤を晴すと同時に、天下を志したに違いない。「三日天下」など云う言葉が残っている....
予の描かんと欲する作品」より 著者:夏目漱石
くわ》しく云うならば、自分が利害関係の為めに作品を拵《こし》らえ上げたとか、或は私憤を洩《も》らす為めに書き上げたとか、総《す》べて目的の他にある所の作品は、私....
転機」より 著者:伊藤野枝
の由緒をたてに、官憲の高圧的な手段に対しての反抗、または買収の手段の陋劣に対する私憤、その他種々なからみまつわった情実につれて、死んでも買収には応じないと頑張っ....
鏡心灯語 抄」より 著者:与謝野晶子
私の怒が私の生活に必要なために発する公憤でなくて他人の不誠実と不聡明とに反応する私憤であり、私の自負が私の平生に希望している内生の満足を意味するのでなくて、他人....
岡本一平論」より 著者:岡本かの子
かかしませんが、男優では、仁左衛門と鴈次郎が好きな様です。 氏は家庭にあって、私憤を露骨に洩らしたり、私情の為に怒って家族に当ったりしません。その点から見て、....
街はふるさと」より 著者:坂口安吾
ればならないワケが、ぼくにあるのかい」 海野はムッとした様子だが、親友のために私憤を殺しているらしく、にわかに物分りのよい顔をして、 「実は青木が、これは又、....
日記」より 著者:宮本百合子
すれば、甚だドラマティックなり。黒シャツを着た党員の示威運動から、ひどく人間的、私憤的な軍法会議場の判決、恥辱のうちに死ぬ将軍等と、外交的意味を以て? それを救....
死の接吻」より 著者:小酒井不木
を拡大した。疫病の恐怖は借金の重荷を軽減してはくれなかった。また各人の持つ公憤や私憤を除いてはくれなかった。しかのみならず公憤や私憤は疫病恐怖のために一層強めら....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
力、木がうごく。しかし、大地はびくともせぬじゃないか。そもそも、おぬしの怒りは、私憤だから弱い。男児の怒りは、公憤でなければいかん。われのみの小さな感情で怒るの....
三国志」より 著者:吉川英治
旗持ちの自白によると、蔡陽は甥の秦※が黄河の岸で討たれたと聞いて、関羽にたいする私憤やるかたなく、たびたび曹操へむかって復讐を願い出たが、曹操はゆるさなかった。....
三国志」より 著者:吉川英治
け、ただ、徳を以て衆にのぞむがいい。なおまた、軍律はおごそかにするとも、みだりに私憤をなして士卒を鞭打つようなことはくれぐれ慎まねばならぬ。そして迅速に※城へ出....
三国志」より 著者:吉川英治
義はない」 「あいや、骨肉のうらみも、不忠の臣の膺懲も、要するに、それは陛下の御私憤にすぎません。蜀帝国の運命はもっと重うございます」 「関羽は国家の重鎮、馬忠....