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「私本〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

私本の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
道楽と職業」より 著者:夏目漱石
とか、そういう外圧的の注意を受けたことは今日までとんとありませぬ。社の方では私に私本位の下に述作する事を大体の上で許してくれつつある。その代り月給も昇《あ》げて....
自叙伝」より 著者:大杉栄
んなことがあっても、あなたを勝たして見せます。」 「ええ、ありがとうございます。私本当にあなたをたった一人の兄さんと思っていますわ。けれど私、どうしても辛棒しま....
毛の指環」より 著者:宮本百合子
ゃうなんて!」 と云った。 「御免なさいね。――あのね――誰にも云わないでね……私本当は神戸で小母さんなんかのとこにいたんじゃないのよ。嘉久子のところにいたの、....
伸子」より 著者:宮本百合子
口よ、全く。――おいや? よるの」 「大丈夫ですよ、雷は遠いもの」 「……でも、私本当にちょっとやすみたいのよ、気持が悪いから」 大丸へ曲る林の横に出た。伸子....
別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
った。 「何うして分ったろうねえ? お前が此処にいるのが。」 「其処が才子なの。私本当に恐ろしくなるわ。方々探しても、何うしても分らなかったから、口髭なんか剃っ....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
なそういう小説をかきたいと思います。小説の世界にだけとじこもっているような小説、私本当にきらいです。この頃、このきらいさが益※はげしくなって。そのためには益※小....
掠奪せられたる男」より 著者:豊島与志雄
んよ。然し私もその前によく考えてみなければ。」と山田も戯談にまぎらした。 「でも私本当は一人ぽっちよ。もう両親《ふたおや》のことなんかすっかり忘れてしまったの。....
微笑」より 著者:豊島与志雄
ょうけれどどうか……。」 「なについでですから、お送りいたしましょう。」 「まあ私本当に安心いたしましたわ。屹度ですわね……そして向うの家もよく存じないものです....
二つの途」より 著者:豊島与志雄
どうして此度はそうお苦しみなさるの。」 「どうも思うように描けないんです。」 「私本当はその絵を余り好きませんわ。何だか暗くって淋しすぎますもの。」 「然し樫も....
野ざらし」より 著者:豊島与志雄
じゃ分らないけれど、ただそう胸の底に感じたの。そしてどんなに泣いたか知れないわ。私本当は、宮原さんを愛してたの。宮原さんも、私を愛して下すったの。愛してるから一....
或る男の手記」より 著者:豊島与志雄
ざりにして……。先生、何もかもありのままお話しますわ。ねえ、聞いて下さいまして?私本当に困ってるんですの。私奥様のお世話で、河野さんの所へ参りまして、昼間は学校....
貞操問答」より 著者:菊池寛
「でも、もうこれから、前川さんのところへお芝居のことで、話しになんか行ったら、私本気で怒るわよ。」と、つけ加えた。 「そんなこと、今更云ってもダメだわ。前川さ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
対立は、この二|統のもつれが遠因をなしていた。 さて、ここまで来て。 この「私本太平記」の筆者は、一つの“物語の壁”につき当ってしまった。南北朝を書くには、....
私本太平記」より 著者:吉川英治
談とは、史家の史説をまつまでもなく、現代人には、わかり切っていようというもので、私本太平記の筆者もまた、夢そのままを、おしつける気は少しもない。 しかし、否定....
私本太平記」より 著者:吉川英治
学者がそれをいわないのは、傍証の史料を欠いてるためだろうが、さりとてそれをいま「私本太平記」のここでは無視するわけにはゆかない。 新田方にも、十そう前後の兵船....