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私物
「私物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
私物の前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「渦巻ける烏の群」より 著者:黒島伝治
隊を出すのは、そこの連絡を十分にするがためであった。 吉永は、松木の寝台の上で
私物を纏《まと》めていた。炊事場を引き上げて、中隊へ帰るのだ。 彼は、これまで....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
ポケットがさぐられて、頬ッぺたがぶん殴られた。アンペラから、毛布から、背嚢から、
私物まで、すっかりひっくりかえされてしまった。 伝単が持ちこまれた径路と出所が....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
とにして河村さんにも留守たのんだら又チリチリ。すぐ入院して、本部の命令で、家族は
私物をもって一応かえるようにということだとあります。それでもお母さんたちは昨晩は....
「穴」より 著者:黒島伝治
一時間ばかり椅子でボンヤリしているうちに、伍長と、も一人の上等兵とは、兵舎で私の
私物箱から背嚢、寝台、藁布団などを悉く引っくりかえして、くまなく調べていた。それ....
「現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
草商事本社を神殿として御使用下さる由申渡されました。社の事業、全財産のみならず、
私物一切奉納して、奉公いたします。皆様の宿舎には、社の寮、私の私宅、全部提供いた....
「水鳥亭」より 著者:坂口安吾
がそう仰有っても、戦火で焼くとか、紛失するとか、してごらんなさい。野口はくだらぬ
私物を大事にして、人から托された国宝的な図書を焼いてしまった、と後世に悪名を残す....
「ざんげの塔」より 著者:夢野久作
一連隊第四中隊(特に明記して置く)に一年志願兵としているうちに、或る晩の事、私の
私物筥に風呂敷に包んだ餅が隠してあるのが発見された。その風呂敷に班付伍長勤務上等....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
あるものときめ、兵たち個々の心理までおなじだった。 ところが、官の廩倉も公卿の
私物もほとんど他へ移されており、疎開民家ときてはなおさらで一ト釜の粟すら残しては....