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「私腹〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

私腹の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虎媛」より 著者:田中貢太郎
うなると、焦生の許へはたくさんの客がくるようになった。客の中には焦生を利用して、私腹を肥やそうとする者もあった。珊珊はそんな客は中に入れないようにした。客の方で....
殺人鬼」より 著者:浜尾四郎
においておくと、今夜にも清やが殺されてしまうかも知れない』なんていうんですもの。私腹が立つたから帰してやつたわ。これで女中が二人になつてしまつたのね」 「でも、....
伸子」より 著者:宮本百合子
」 「行きますよ、だから」 「行く、行かないなんか、どうだっていいわ、そう云うの私腹が立つのよ。あなたみたいに、何でも誰かのためにしなけりゃ気のすまない人、めず....
渋江抽斎」より 著者:森鴎外
藩の留守居中有数の人物であったらしい。帆足万里はかつて留守居を罵って、国財を靡し私腹を肥やすものとした。この職におるものは、あるいは多く私財を蓄えたかも知れない....
自警録」より 著者:新渡戸稲造
国防の充実を計るという看板をかけた人が、裏面においてはこれによりて窃《ひそか》に私腹を肥《こや》すことがあったからである。かくのごとき事こそ悪い意味における表裏....
新西遊記」より 著者:久生十蘭
にはなんの権力も与えられていないので、自分たちでいい加減な政治をとり、思う存分に私腹を肥すことができるからである。その連中のねがいは、法皇が永久に五歳のままでい....
勧善懲悪」より 著者:織田作之助
丹造は、その跡釜へ新たに保証金を入れた応募者を据えるという巧妙な手段で、いよいよ私腹を肥やしたから、路頭に迷う支店長らの怨嗟の声は、当然高まった。 ある支店長....
道なき道」より 著者:織田作之助
の社員の言いなりになり、誇張していえば、餌食になっていた。音楽家はそれらの人々の私腹を肥すことに努力することによって、辛うじて演奏にありついて来たのである。 ....
なよたけ」より 著者:加藤道夫
名状し難いまでに紊乱してしまった! 悪辣な国司どもは官権を濫用して、不正を働き、私腹を肥して、人民を酷使している。今こそ、長いこと忘れられていた正義の魂がとり戻....
三国志」より 著者:吉川英治
なってしもうた。……今思えば、わしもあまり一徹であったが、洛陽の顕官どもが、私利私腹のみ肥やして、君も思わず、民をかえりみず、ただ一身の栄利に汲々としておる状は....
三国志」より 著者:吉川英治
える立札まで先に用意されてあった。 立札には、 王垢、糧米を盗み、小桝を用いて私腹をこやす。 罪状|歴然。軍法に依ってここに正す。 と、書いてあった。 「さ....
賤民概説」より 著者:喜田貞吉
の名の下に天下の田園を壟断して、国政を顧みず、上に見習う地方官は誅求を事として、私腹を肥すことのみに汲々とし、下積みになった平民は口分田の班給にもあずかることを....
予謀殺人」より 著者:妹尾アキ夫
ず針で刺されることを警戒せねばならぬ。 プラットの場合もそれと同じである。彼は私腹をこやすために、ペンベリーの自由をおびやかそうとしている。それは彼の勝手だが....
大岡越前」より 著者:吉川英治
守|重秀であり、かれの背後には、柳沢吉保があった。 柳沢、荻原らが、その間に、私腹をこやし、新貨幣の威力をもって、さらに悪政閥を活溌にしたのはいうまでもない。....