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私語
「私語〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
私語の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
後《のち》倉地は二階の一|間《ま》で葉子を力強く膝《ひざ》の上に抱き取って、甘い
私語《ささやき》を取りかわしていた時、葉子が情に激して倉地に与えた熱い接吻《せっ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
うなずき合って今年の糶《せり》では一番物だと賞《ほ》め合った。仁右衛門はそういう
私語《ささやき》を聞くといい気持ちになって、いやでも勝って見せるぞと思った。六頭....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
。早や座に見えた菅子の姿。眩いばかりの装いで、坐りもやらず、 「まあ、姉さん!」
私語 三十五 「もう遅いわ、姉さん、早くいらっしゃらないでは、何を....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
もクララを振りかえって見た。「光りの髪のクララが行く」そういう声があちらこちらで
私語かれた。クララは心の中で主の祈を念仏のように繰返し繰返しひたすらに眼の前を見....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
肉の嘆に、たえかねているようでは、ありませんか」 一人の参謀が、有馬参謀長に、
私語した。 「九六式の戦闘隊のことだろう」参謀長は、さもあろうという顔付をした。....
「茶の本」より 著者:岡倉覚三
がむれば樹木も戦慄するように思われ、木の葉のさらさらとそよぐ音にも、家なき亡者の
私語が聞こえる。地獄の門前にいるまじめくさった番兵のように、灰色の燈籠が立ってい....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
中で、折から荘厳な経文歌の合唱が轟いているにもかかわらず、彼の友人二人が、秘かに
私語する声を聴いたと云うのですよ」それから法水は、その現象をこの事件の実体の中に....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
のが気に入らない――との言葉は、俄然一同に大きな衝動を与えたらしく、そこかしこで
私語が起った。多くはこんな明白な盲管銃創を認めるのを躊躇する古堀老人の頑迷を非難....
「不思議なる空間断層」より 著者:海野十三
そして静かに口のところへ持っていった。 ひそひそと、若い男女は乃公の背後で喃々
私語しているではないか。その微な声がアンプリファイヤーで増音せられて、乃公の鼓膜....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
の音。それに重って男女の嘲け笑いが聞えて来る。 続いて、「気違い、気違い」と云う
私語・囁き声が幻聴の如く、文麻呂の不穏な頭を乱し始める。…… 文麻呂、両手を頭に....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
うつせ貝が、大いなる水の心を語り得るなら、渚に敷いた、いささ貝の花吹雪は、いつも
私語を絶えせぬだろうに。されば幼児が拾っても、われらが砂から掘り出しても、このも....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
お化粧した顔はお葬い向きでなかった。その上に間断なくニタニタ笑いながら沼南と喃々
私語して行く体たらくは柩を見送るものを顰蹙せしめずには措かなかった。政界の名士沼....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
らは彼を倒すまで戦わねばならないと思う! 」 船場君は壇に近づいて行って松島に
私語した。するとさすがに興奮していた松島君がニヤリと笑いながら降壇してしまった。....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
む、面を出す。 戦場のような騒ぎはまた荷造りにある。しかし此処にも誰として一の
私語すら発する余裕を与えられた高麗鼠はいない。事実空気は沈静している。ただ機械力....
「鉄の処女」より 著者:大倉燁子
人の男女がどやどやと入って来たが、団長の姿を見ると皆隅の方へかたまってこそこそと
私語いていた。 「また嫉いてるんだよ」 「可哀想に! 殴らないだっていいわ」 「....