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私語く
「私語く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
私語くの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
がら、そこに寝そべった。水蒸気を含んだ風が吹いて来ると、麦の穂と穂が擦れ合って、
私語くような音をさせる。その間には、畠に出て「サク」を切っている百姓の鍬の音もす....
「家」より 著者:島崎藤村
ていた。二人は話し話し涼台の方へ近いた。 間もなく娘達も手を引いて帰って来た。
私語く声、軽く笑う声が、そこにも、ここにも起った。知らない男や女は幾群となく皆な....
「千鳥」より 著者:鈴木三重吉
の小島の影や、山や蜜柑畑や、森や家々や、目に見るものがことごとく、藤さんの白帆が
私語く言葉を取り取りに自分に伝えているような気がする。 と、ふと思わぬところに....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
日は昼過ぎまでいた。出る時、女が送って出て、「ぜひ近いうちにね、きっとですよ」と
私語くように言った。昨夜、床の中で聞いた不幸な女の話が流るるように胸にみなぎった....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
女! |大佐さん!』 モハメッドのために! モハメッドのために! と祈るように
私語くのは、盲目の老婆の手を引いた、ベズイン族の少女である。両頬に三本細く文身し....
「鹿狩り」より 著者:国木田独歩
れは穏やかな罪のない眠りで、夢とも現ともなく、舷側をたたく水の音の、その柔らかな
私語くようなおりおりはコロコロコロと笑うようなのをすぐ耳の下の板一枚を隔てて聞く....
「星」より 著者:国木田独歩
|戴けるが現われて、言葉なく打ち招くままに誘われて丘にのぼれば、乙女は寄りそいて
私語くよう、君は恋を望みたもうか、はた自由を願いたもうかと問うに、自由の血は恋、....
「わかれ」より 著者:国木田独歩
かれは木の葉一つ落ちし音にも耳傾け、林を隔てて遠く響く轍の音、風ありとも覚えぬに
私語く枯れ葉の音にも耳を澄ましぬ。山鳩一羽いずこよりともなく突然|程近き梢に止ま....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
護婦、患者等は、彼に往遇う度に、何をか問うものの如き眼付で見る、行き過ぎてからは
私語く。折々庭で遇う会計係の小娘の、彼が愛していた所のマアシャは、この節は彼が微....