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私財
「私財〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
私財の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
ふた色に選り分けて、ふた所に運ぶという法はないのです。あきらかにその一事もまた、
私財横領のよかならぬ悪計を察するに充分な行動でしたから、無数と言ってもいい程の千....
「三狂人」より 著者:大阪圭吉
。が、二代目にはそろそろ経営難がやって来た。そして三代目の当主に至って、とうとう
私財を殆ど傾けてしまった。 新らしい時代が来て、新らしい市立の精神病院が出来上....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
じますが、津多子様の御夫君押鐘博士は、御自身経営になる慈善病院のために、ほとんど
私財を蕩尽してしまいました。それなので、今後の維持のためには、どうあってもあの隻....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
も怪しみ、他の者も不審をいだくようになった。これが果てしもなしに続くときは、彼の
私財が尽きてしまうか、あるいは重要書類をうしなった罪に服するか、二つに一つは免か....
「ウィリアム・ウィルスン」より 著者:佐々木直次郎
ちにして大財産家となり、彼の結婚によってもますますその富が増したという。彼はその
私財をもって方々に劇場や音楽堂を建てたり、競技場や競走路をつくったり水道や温浴場....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
火葬国建設の指揮を願うのに最も適任者だと思ったからだ。大将はすっかり共鳴されて、
私財の全部をわが火葬国のために投ぜられたのだ」 「するとここは一体|何処なのだ。....
「南さんの恋人」より 著者:豊島与志雄
相当な財産をもっていて、ゆくゆくはそれを正夫に譲るという口吻をもらしていた。既に
私財で南さんの家計を補うことも度々だった。そういうわけで、南さんは妻の死後、理想....
「中庸」より 著者:坂口安吾
て、学校再建のためには人知れず孤軍奮闘している人だ。学校再建のためにすでに相当の
私財をそそいでいる筈ではなかったかね。この床板に限って取返すとはわけが分らないじ....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
と見るべきであろうか。幸いにその財宝は長安の死後も発見されずに、そのまま千頭家の
私財となり、ここに千頭家開運の元をひらいた。当家大明神大女神とあるのは、それを指....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
で、弘前の郊外に、相当大きなりんご園を経営しており、しかも、そのりんご園の中に、
私財を投じて、付近の青年たちのために小さな集会所を建て、毎晩のように、自分もいっ....
「人口論」より 著者:マルサストマス・ロバート
ングランドの最初の清教徒移民は少数であった。彼らは悪い季節に上陸し、しかし自分の
私財だけが頼りであった。冬は早く襲来し、恐ろしく寒かった。この地方は森林で蔽われ....
「悪魔の聖壇」より 著者:平林初之輔
させては、相手の弱点をにぎり、それをたねに脅迫して、獣欲を恣《ほしいまま》にし、
私財を蓄えていたのです。皆さん、皆さんはどなたも神の救いにすがろうとして、かえっ....
「福沢諭吉」より 著者:服部之総
中とて地所も材料も労賃も馬鹿安にあがったとはいえ、出費はことごとく印税を蓄積した
私財をもって成った。彼が一生その「権利」のために戦った「生命及び財産」のいっさい....
「無月物語」より 著者:久生十蘭
処理して宮廷の収入を一躍倍にするという目ざましい手腕を見せたが、その間に抜目なく
私財も積み、なお深草の長者|太秦《うずまさ》王の次女の朝霞子《あかこ》を豊饒な山....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
獄事件に連坐して刑罰を受けた。しかしそれがため出獄の後は生涯遊んで暮らせるだけの
私財をつくり、子孫も既に成長し立身の途についているものもある。疑獄事件で収監され....