秋の花[語句情報] » 秋の花

「秋の花〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

秋の花の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
はつか》頃からもうその準備に忙がしそうであったが、五月の陽気な川開きとは違って、秋の花火はおのずと暗い心持ちが含まれて、前景気がいつも引き立たなかった。江戸名物....
こころ」より 著者:夏目漱石
き出しながら、黒ずんだ葉に被《おお》われているその梢《こずえ》を見て、来たるべき秋の花と香を想《おも》い浮べた。私は先生の宅《うち》とこの木犀とを、以前から心の....
白髪小僧」より 著者:杉山萠円
いいと無理に姫を花園に連れておいでになりました。 来て見るとこれは不思議――春秋の花が一時に咲き揃って、露に濡れ旭《あさひ》に輝やいていますから、濃紅姫は呆れ....
秋の暈」より 著者:織田作之助
暈のように集っていた。しみじみと遠いながめだった。夜露にぬれた道ばたには、高原の秋の花が可憐な色に咲いていた。私はしみじみと秋を感じた。暦ではまだ夏だったが……....
婦系図」より 著者:泉鏡花
二十九 夫の所好で白粉は濃いが、色は淡い。淡しとて、容色の劣る意味ではない。秋の花は春のと違って、艶を競い、美を誇る心が無いから、日向より蔭に、昼より夜、日....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
頂きへと急ぎました。 杉の林は尽きて、さらに雑木の林となりました。路のはたには秋の花が咲き乱れて、芒の青い葉は旅人の袖にからんで引き止めようとします。どこやら....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
不祥なる「墓穴」の地だけは完全に脱出すると、こんどはまた胆吹の裾野が瞭々として、秋の花野が広々として、琵琶湖が一面に水平線を立てました。その中を、お銀様の後ろに....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
灯が、黄色に燃えて描いたよう。 向う側は、袖垣、枝折戸、夏草の茂きが中に早咲の秋の花。いずれも此方を背戸にして別荘だちが二三軒、廂に海原の緑をかけて、簾に沖の....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
いるんですな!」 見ればなるほど、ばらの花こそ今はなかったが、めずらしい美しい秋の花が、植えられるかぎりいたるところにおびただしく咲き誇っていた、どれもこれも....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
リストフを打ち捨てて、神の中に移り住んだのだった。 多くの白髪が、九月の一夜に秋の花が牧場に萌《も》え出すごとく、黒い髪の中に突然現われていた。新たな皺《しわ....
白い花」より 著者:種田山頭火
私は木花よりも草花を愛する。春の花より秋の花が好きだ。西洋種はあまり好かない。野草を愛する。 家のまわりや山野渓谷を....
叔父と甥と」より 著者:岡本綺堂
寂しさは絵にもかかれず暮の秋 あきらめは紋切形の露の世や 絵を見れば絵も薄墨や秋の花 十二日、青山墓地にて埋葬のこと終る。この日は陰りて雨を催せり。 青山や....
可愛い山」より 著者:石川欣一
を渡っていた。 だが雨飾山ばかりは、不思議に印象に残っていた。時々夢にも見た。秋の花を咲かせている高原に立って、遥か遠くを見ると、そこに美しい山が、ポカリと浮....
日を愛しむ」より 著者:外村繁
の気配の流れるのを感じた。門前の桜の落葉もめっきりその数を増した。庭にはいかにも秋の花らしい、黄蜀葵の淡黄色の花が咲き続いている。秋海棠も桜貝のような薄紅色の蕾....
ひとりすまう」より 著者:織田作之助
考えた。道端の電柱の灯がその薫を照らしている様だった。鈍い光であったから、それは秋の花の匂いを想わせた。ぼくは木犀らしいと思ったが、後できいたら、ホワイトローズ....