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「秋冷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

秋冷の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
服装に就いて」より 著者:太宰治
枕元に、見馴れぬ着物が、きちんと畳まれて置かれてある。れいのセルである。そろそろ秋冷の季節である。洗って縫い直したものらしく、いくぶん小綺麗にはなっていたが、そ....
めくら草紙」より 著者:太宰治
眼を見はった。庭のまんなかに、一坪くらいの扇型の花壇ができて在るのだ。そろそろと秋冷、身にたえがたくなって来たころ、「庭だけでも、にぎやかにしよう。」といつか私....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
おく了見らしい。主人は第二信を取り上げたが「ヤ、これも活版だ」と云った。 時下秋冷の候《こう》に候《そろ》処貴家益々御隆盛の段|奉賀上候《がしあげたてまつりそ....
睡魔」より 著者:蘭郁二郎
めてその記事を読み下して見ると 今夏以来帝都を襲った睡魔『眠り病』の罹病者数は、秋冷厳冬の期を迎えても尠しも衰えず、寧ろ逐次増加の傾向を示して当局必死の防疫陣を....
源氏物語」より 著者:紫式部
ごろになってまた宮の君にお心を惹かれ、御本性どおりにつきまとっておいでになった。秋冷の日になって中宮は宮中へ帰ろうとあそばされるのであったが、秋の盛りの紅葉の季....
大正女流俳句の近代的特色」より 著者:杉田久女
猫は二匹となっていたという、小春らしい静かな時間的変化を写生している。 紫陽花に秋冷いたる信濃かな 久女 山国の時候の急変と時の経過をよめる句。 (11....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
のみ。この近海はなお熱帯圏内にあれば、昼間は赤日炎々たれども、朝夕の南風はすでに秋冷を送り来たる。豪州はわが国と正反対にして、四月は中秋の期節なり。 夢ならぬ世....
長崎の鐘」より 著者:永井隆
血小板が破壊され、出血性素因を生じたものと思われる。兎での実験がある。 朝には秋冷を覚ゆる九月に入ると、降伏後の混乱もおのずから鎮まり、患者も大体助かるめどが....
三国志」より 著者:吉川英治
霊をまつり、また甥の曹安民の供養をもなした。――楊柳の枝は長く垂れて、水はすでに秋冷の気をふくみ、黒い八哥鳥がしきりと飛び交っていた。 ――諸軍|号哭の声やま....