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秋刀魚
「秋刀魚〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
秋刀魚の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
った。私は疲れた身体に熱い酒をそそぎ入れた。しかし私は酔わなかった。酌に来た女は
秋刀魚《さんま》船の話をした。船員の腕にふさわしい逞《たくま》しい健康そうな女だ....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
となく血の雨を浴びて来た男だ。貴様たちの鈍刀《なまくら》がなんだ、白痴《こけ》が
秋刀魚《さんま》を振り廻すような真似をしやあがったって、びくともするんじゃあねえ....
「私の個人主義」より 著者:夏目漱石
です。するとその農家の爺《じい》さんと婆《ばあ》さんが気の毒がって、ありあわせの
秋刀魚《さんま》を炙《あぶ》って二人の大名に麦飯を勧めたと云います。二人はその秋....
「地球盗難」より 著者:海野十三
だいぶん近くまでくると、なに思ったものか、云いあわしたようにピタリと足を停めて、
秋刀魚が乾物になったような顔をした。 「どうしたかな?」 と大隅が思った途端、....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
斐がない訳である。甲州街道に肴屋はあるが、無論塩物干物ばかりで、都会に溢るゝ※、
秋刀魚の廻って来る時節でもなければ、肴屋の触れ声を聞く事は、殆ど無い。ある時、東....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
あんた、今日市場へ寄らないの、私今晩のおかずを買って行くのよ……」
一皿八銭の
秋刀魚《さんま》は、その青く光った油と一緒に、私とお千代さんの両手にかかえられて....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
どうかしてすこし風邪気です。勿論大したことなし、そしてね、バカでしょう、ゆうべは
秋刀魚《さんま》のトゲをのどに立てたのよ。
秋刀魚の骨は細くしなやかで、御飯かため....
「放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
、私はうで卵を七ツ八ツパッチンパッチンテーブルへぶっつけてわった。 十一月×日
秋刀魚を焼く匂いは季節の呼び声だ。 夕方になると、廓の中は今日も
秋刀魚の臭い、....
「おせん」より 著者:邦枝完二
間達に、猪口半分でいいから、この湯を飲ましてやりてえ気がする。――」 どこぞの
秋刀魚を狙った泥棒猫が、あやまって庇から路地へ落ちたのであろう。突然雨戸を倒した....
「飛沙魚」より 著者:佐藤垢石
精失調とでもいう病気にかかり、眼を開いたまま眠るか、どうか。 鮎、鯰、鯛、鮪、
秋刀魚など多くの魚が、眠っても眼を閉じないのは、※を閉じる。 日本のどこでもの....
「小説 円朝」より 著者:正岡容
っしょに門をでた。仰ぐともう空は縹《はなだ》いろに暮れようとしていた。どこからか
秋刀魚焼く匂いが人恋しく流れてきていた。二年前、日暮里の南泉寺の庭で、泣く泣く仰....
「随筆 寄席風俗」より 著者:正岡容
んな談じ方をしたのだろう!)とうとう家賃を負けさせてしまった、と。いかにも「古袷
秋刀魚にあわす顔もなし」と詠んだこの男らしくておもしろい。 左楽はまたこんな話....
「わが寄席青春録」より 著者:正岡容
てくれた。永らく阪地にあった私には、久し振りに故郷へ帰ってその時同君の宅で食べた
秋刀魚や鰯《いわし》がどれほどなつかしく美味しかったろう。ある日は豚のコマぎれを....
「眼」より 著者:徳永直
よ」 女工の一人が大声で云っている。女達がてんでに、お櫃を抱えて運ぶ。焼かれた
秋刀魚が、お皿の上で反り返っている。 「これはどうしたことだ?」 利平は、半ば....
「明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
買ったらしく、評者の伊東橋塘氏が暴漢に襲われて負傷したという記事もみえた。白痴が
秋刀魚を持って――などは、もとより江戸っ子一流の悪口に過ぎないのであるが、ともか....