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「秋気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

秋気の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
自転車日記」より 著者:夏目漱石
うでしたと婆さんの問に敗余の意気をもらすらく車|嘶《いなな》いて白日暮れ耳鳴って秋気|来《きた》るヘン 忘月忘日 例の自転車を抱いて坂の上に控えたる余は徐《お....
竹青」より 著者:太宰治
ける。魚容はそのよごれ物をかかえて裏の河原におもむき、「馬|嘶て白日暮れ、剣鳴て秋気来る」と小声で吟じ、さて、何の面白い事もなく、わが故土にいながらも天涯の孤客....
川中島合戦」より 著者:菊池寛
も亦、信玄に劣らぬ文武兼備の大将で、文芸の趣昧ふかく、詩にはおなじみの、 |霜満秋気清 数行過雁月三更 越山併得能州景 遮莫家郷|憶 の詩があり、歌には、 も....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
のだ、破壊も足りないのだと考えるのも、その同じ彼だ。 やがて残った暑さの中にも秋気が通って来て、朝夕はそこいらの石垣や草土手で鳴く蟋蟀の声を聞くようになった。....
蒲団」より 著者:田山花袋
だらと坂を下りて行く。時は九月の中旬、残暑はまだ堪え難く暑いが、空には既に清涼の秋気が充ち渡って、深い碧の色が際立って人の感情を動かした。肴屋、酒屋、雑貨店、そ....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
将上杉謙信が「数行過雁月三更」と能登の国を切従えた時吟じたのも、霜は陣営に満ちて秋気清き丁度|斯様《こう》いう夜であった。三国の代の英雄の曹孟徳が、百万の大軍を....
父の形見」より 著者:豊島与志雄
蚊を追いながら、君の方を顧りみて微笑した。それから中声で詩を吟じた。 霜満軍営秋気清……云々 鞭声粛粛夜過河……云々 蛾眉山月半輪秋……云々 月落烏啼霜満天…....
化生のもの」より 著者:豊島与志雄
ことだってあり得るのである。 美枝子の腹部は少しもふくらんでこなかった。ただ、秋気が深まるにつれて、彼女はいくらか肥ってきたようだった。そして、煙草をもてあそ....
日記」より 著者:宮本百合子
困る。 庭から苺を切って、コップにさす。指に芳しいうつり香がして、心地よろし。秋気爽やかと云う感。 昨夜二時頃、天井を見ながら、一つの小さい随筆の材料を思い....
秋草」より 著者:島崎藤村
るこんな花もめずらしいと思う。わたしがこれを書いているのは九月の十二日だ。新涼の秋気はすでに二階の部屋にも満ちて来た。この一夏の間、わたしは例年の三分の一に当る....
香魚と水質」より 著者:佐藤垢石
、肉がやわらかである。こんなことを頭において鮎を見れば、食味に一段の興趣を添う。秋気に最も敏感なのは水である。麓の村々ではまだ残る厚さにあえいでいるというのに、....
植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
あって、薬にはするが、敢て果のように嘗め啖うべきものではない。中国では毎年天澄み秋気清き九月九日重陽の日に、一家相携えて高処に登り菊花酒を酌み、四方を眺望して気....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
ありて、船少しく傾動す。 二日、曇り。午前、虹霓一弓、驟雨一過、南風冷を送り、秋気船窓に入るの心地あり。また、晩に船欄に倚れば新月の西天に印するを見る、また大....
三国志」より 著者:吉川英治
ぬ」 「姜維よ。わしの病は天文にあらわれている。こよい天を仰ぐに、三台の星、みな秋気|燦たるべきに、客星は明らかに、主星は鈍く、しかも凶色を呈し、異変歴々である....