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秋草の
「秋草の〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
秋草のの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
っきりと記憶に残っています。そう云えばもう一つ、その頭の上の盆提灯が、豊かな胴へ
秋草の模様をほんのりと明《あかる》く浮かせた向うに、雨上りの空がむら雲をだだ黒く....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
のうの夕暮れじゃ。衣笠どのが端《はし》近う出て虫の音に聞き惚れていらるると、庭の
秋草の茂みから煙りのように物の影があらわれた。見るみるうちに、それが美しい上臈の....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ようですが、お角と判れば調べようもあります」 二人は更に坂下の空地へまわると、
秋草の乱れている中に五、六本の榛《はん》の木が立っていた。うしろは小笠原家の下屋....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
がさがさという音がひびいたので、思わず背後をみかえると、小さい蛇が何か追うように
秋草の間をちょろちょろと走って行った。 「こいつを持って行ったかな」と、半七は少....
「修禅寺物語」より 著者:岡本綺堂
の上手につづける一間の家体は細工場にて、三方に古りたる蒲簾をおろせり。庭さきには
秋草の花咲きたる垣に沿うて荒むしろを敷き、姉娘桂、二十歳。妹娘楓、十八歳。相対し....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
《つい》に猫又もお化け鞄も共に自分の手に入れ、それを奇竜丸に持ち込んだばかりか、
秋草の自由を束縛してこの船に乗せてしまったことが分った。それから後はずっと海上生....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
朧に、のほのほと並んだ時は、陰気が、緋の毛氈の座を圧して、金銀のひらめく扇子の、
秋草の、露も砂子も暗かった。 女性の山伏は、いやが上に美しい。 ああ、窓に稲....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
したが、その時は、投げた単衣の後褄を、かなぐり取った花野の帯の輪で守護して、その
秋草の、幻に夕映ゆる、蹴出しの色の片膝を立て、それによりかかるように脛をあらわに....
「大阪の憂鬱」より 著者:織田作之助
顧があった。しかし、私はいま回顧談をもとめられているわけではない。 「かたはらに
秋草の花語るらく ほろびしものはなつかしきかな」 という牧水流の感情に耽....
「或る秋の紫式部」より 著者:岡本かの子
三十一二歳 老侍女 妙な美男 西向く聖 (舞台正面、質素な西の対屋の真向き、
秋草の生い茂れる庭に臨んでいる。その庭を囲んで矩形に築地垣が廻らされているが、今....
「ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
の秋の流行はペルシャ野羊であることを使嗾して居る。霧雨はいつの間にか晴れて、道は
秋草の寝乱れて居る赫土の坂を上り、ポロ競技場が彼の眼の前に展開された。 イギリ....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
、屈んで、差出した提灯の灯で見ると、ああ、その柳の根に、叩きつけたようになって、
秋草の花瓶ががらがらと壊れていた。石に化した羽衣を、打砕いたようである。その断片....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
少し跡へ戻ると若杉の森があって、その下に細い流れが見える。流れに掩い冠さっている
秋草の色が美しい。ここで縦画を描きはじめて四、五時間を送った。 十日には出発の....
「手風琴」より 著者:小川未明
はいいました。 「じゃ、おまえさんも達者で。」と、じいさんは、別れを告げました。
秋草の咲き乱れた高原を、だんだん遠ざかってゆく、手風琴の音がきこえました。 「変....
「冬のちょう」より 著者:小川未明
かれる落ち葉のように、女ちょうの姿は、青空のかなたへと消えていったのであります。
秋草の乱れた、野原にまで、女ちょうは一|気に飛んでくると気がゆるんで、一|本の野....