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「秘か〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

秘かの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
さを以て、お前の心の醜い秘密を人に知られまいとしたではないか。お前は人の前では、秘かに自任しているよりも、低く自分の徳を披露して、控目という徳性を満足させておき....
階段」より 著者:海野十三
た跫音の曲線をうつした写真が出た。それは多分、三階のどこかに学士が危険を慮って、秘かに隠匿して置いたものであろう。それには明らかに、所長殺害事件のあの時刻に佐和....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
様子もありません」 「そうかネ、フーム……」 と検事は大きな吐息をした。そして秘かに覗き穴から、舞台を注視した。なるほど、ギッシリと詰った座席の彼方に、見覚え....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
遥かな地点に、陳謝と祈りを、捧げるもののようであった。そういえば、湯河原中佐が、秘かに、司令官の室内に忍びこみ、鍵らしいものを盗んで、地下街の一隅に設けられた秘....
ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
う男は頭がよかったと見えて、それを自分だけに止めず、ゴールデン・バットの女たちに秘かに喫わせたのだ。女たちは、真逆そんな仕掛けのある煙草とは知らず、つい喫ってし....
壊れたバリコン」より 著者:海野十三
死を覚悟している。僕は此処三四日の内に殺されるそうだ。実はさきほど敵国人の一人が秘かに僕に告白したので判った次第である。 君は敵国人が秘かに僕に告白したことを....
白蛇の死」より 著者:海野十三
の喜多公、即ち変電所の技手補|田中喜多一で、これは吉蔵親分の一の乾分である上に、秘かにお由に想いを掛けているのだと、国太郎は何時かお由自身の口から聞かされた事も....
戦時旅行鞄」より 著者:海野十三
ことが現に起っているんだから、全く馬鹿気た話さ」 そんな騒ぎのうちに、船橋でも秘かなる大騒ぎが起っていた。 「どうも不思議だ。機関部は十五ノットの速力を出して....
夜泣き鉄骨」より 著者:海野十三
とが医学的に判っているのだ。それで、胎の子を、胡魔化しようもないので、若い二人は秘かに会って泣きながら相談した。いい智恵も見付からぬ裡に、女の身体はだんだんと隠....
蛇性の執念」より 著者:大倉燁子
甘えして頂いておきます』と云いながら、大切そうに書簡紙の間に挟んだ刹那、叔父様は秘かに携えて来た黒蛇を放したのだと申します。黒蛇は文夫さんの首筋を巻きかけたんで....
あやつり裁判」より 著者:大阪圭吉
それでは何故そんな無茶な証言をしたか、つまり殺人事件の被告と女将との間に、なにか秘かな怨恨関係でもありはしないか、と云う点に全力を注いでみたんです……ところが、....
動かぬ鯨群」より 著者:大阪圭吉
限しているのだった。しかし、捕鯨能率を高めるために、監視船の眼のとどかぬ沖合で、秘かに仔鯨撃ちも犯す捕鯨船は、時折りあるらしかった。 根室の岩倉会社には、二艘....
雛妓」より 著者:岡本かの子
守っていた。しかしわたくしの実家の者に対しては「一たいに人が良過ぎら」と言って、秘かに同情は寄せていた。 「俺はおまえを呉れると先に口を切ったおふくろさんの方が....
高原の太陽」より 著者:岡本かの子
下さったでしょう……女性の本当に濃かいデリケートな感受性へ理解されることが、僕の秘かな希望だったんだな……」 「でもあなたは素焼の壺が二つ並んだような男女の交際....
食魔」より 著者:岡本かの子
たあまりに多岐に亘り複雑過ぎて当時の彼には考え切れなかった。嘆くより後れ走せでも秘かに学んで追い付くより仕方がない。彼はしきりに書物を読もうと努めた。だが才気と....