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秘し隠し
「秘し隠し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
秘し隠しの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
左衛門の身代の潰れたことまでは……。いや、それもどうで遅かれ早かれ知れることで、
秘し隠しにしようとするのは卑怯というもの。わたしが自身の口からは言いにくいことを....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
出直して来て、金を渡して本人を連れて行ったそうですが、その勤めさきを駒八の家では
秘し隠しにしているので、どうも確かに判りません。御用の声でおどかせば云わせる術《....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
になっても、まだ、ああ、心得違いをいたしました。先生よしなに、とは言い得ないで、
秘し隠しをする料簡じゃ、汝が家を野天にして、婦とさかっていたいのだろう。それで身....
「縮図」より 著者:徳田秋声
。 やがて妹たちもめいめいの立場から、姉の身のうえを恥じ、学校でも勤め先でも、
秘し隠しに隠さなくてはならないであろう。 銀子は胸に滞っている当面の問題につい....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
て妾は、ジーグフリードのために、いうべからざる汚辱をこうむりました。王は、それを
秘し隠してはいますが、そなたは、妾にうち明けてくれましょうな。アイゼンシュタイン....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
ても一向に音沙汰がない。 例の強情から、印籠がまだ出ないことは娘や阿古十郎にも
秘し隠し、さり気ない体を装っているが、胸の中はまるで津波と颶風が一緒にやって来た....
「怪異暗闇祭」より 著者:江見水蔭
すよ。ですが、それをぱっとさせた日には、忽ちお祭がさびれっちまうので、土地の者は
秘し隠しにして居りますがね。昨年のはちっと念入りでございましたよ。女がね、お臀の....
「平家蟹」より 著者:岡本綺堂
…命をちぢむる毒酒なりしか。 玉虫 ひとに洩れては願望のさまたげと、現在の妹にも
秘し隠したれば、おなじ家のうちに住みながら、玉琴もまだ知るまい。西海に沈みたる平....
「挿話」より 著者:徳田秋声
ど、嫂の兄さんがばかに律義な人でね、どこだどこだってしきりに聞くんだ」 「そんな
秘し隠しをしなくともいいじゃありませんか。別に悪いところにいるというのじゃないし....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
らなみだをこぼして答える。
こんな拷問に遭わされないでも、又八はもうあの事を、
秘し隠しにつつんでいる勇気はないのである。
「実は、去年の夏のことだったので――....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
ょう? ……」 「そうよ、それに違えねえ」 「養い親の人情で、虎五郎は私にそれを
秘し隠しにしていましたが、息をひきとる時になって、初めて、それを明かそうとしたの....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
すばやく懐中へ隠したじゃあないか。その後、どうして拙者に実を明さない」 「何も、
秘し隠しにしやしねえ」 「じゃ、見せてくれてもいいではないか」 「それ程、大した....
「増長天王」より 著者:吉川英治
人なき如くこう言った。 「おれの持つわざというものはな、自体こんな狭い山だけに、
秘し隠しにされておしまいになるような小さな物ではないのだぞ。芸の術が大きければ大....