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秘す
「秘す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
秘すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
過ぎぬのでしょう、偶然に名乗った姓名が殺人女と暗号したか、或いは自分の本姓本名を
秘する為に殊更に世に知られた殺人女の名を用いたのか其の点は貴方に分りますまい」
....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
く見えたのである。 「行かん筈はないでしょうが、貴娘、知っていて、まだ私の前に、
秘すのじゃないかね。」 「存じませんの。」 と頭を掉ったが、いたいけに、拗ねた....
「海異記」より 著者:泉鏡花
「黙ろう、黙ろう、」と傍を向いた、片頬に笑を含みながら吃驚したような色である。
秘すほどなお聞きたさに、女房はわざとすねて見せ、 「可いとも、沢山そうやってお秘....
「不審庵」より 著者:太宰治
申候ところ、卒然としてその奥義を察知するにいたり、このよろこびをわれ一人の胸底に
秘するも益なく惜しき事に御座候えば、明後日午後二時を期して老生日頃|昵懇の若き朋....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
千万の限りであった。 「そういう訳なら師を取らずに己一人工夫を凝らし、東軍流にて
秘すところの微塵の構えを打ち破り清左衛門めを打ち据えてくれよう」 間もなく葉之....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
南無阿弥陀仏。」 「狸めが。」 と背を円くして横を向く。 「それ、年増が来る。
秘すべし、
秘すべし。」 で、手袋をたくし込む。 処へ女中が手を支いて、 「御....
「出奔」より 著者:伊藤野枝
。俺は翌日(即ち十二日)手紙を持って学校へ行った。もちろん知れてしまったのだから
秘す必要もない。そうして手紙を見せて俺の態度を学校に明らかにするつもりだったのだ....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
が居りますえ?」 と解せない顔色。 「そりゃ、無いことはございませんが、」 「
秘すな、尋常に顕せろ。」と真赤な目で睨んで言った。 「何も秘します事はございませ....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
を、もの狂わしく駆廻ったはおろか、いまだに、振向いても見ないで、胸を、腹部を袖で
秘すらしい、というだけでも、この話の運びを辿って、読者も、あらかじめ頷かるるであ....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
この間から始終くよくよしておいでじゃないか。言ってお聞かせ、どうしたの。何も私に
秘す事は無いわ。」 二三日来、小親われを見ては憂慮いて、かくは問うたりき。心な....
「小公女」より 著者:菊池寛
エラの空想でした。お人形が皆のいない間に歩いたり、物をいったりする事、だがそれを
秘す必要から、人の気配がすると、「稲妻のように」自分の席に飛び戻るのだという事な....
「勉強記」より 著者:坂口安吾
会の生活がいやになったな。くにへ帰って、暫くひとりで考えてくる」 先生自体が神
秘すぎて、按吉には、先生の厭世の筋道や内容がどうもはっきり呑みこめなかった。世界....
「役人学三則」より 著者:末弘厳太郎
らず例えば、ある一省がそれに関する準備事務を進めると、あたかも敵国に対して軍機を
秘すると同じような態度で、調査資料を秘密にするようなことをする。われわれ国民の目....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
旨く手繰って聞き出したら、天丼でも御馳走になるんだろう。厭だよ、どこの誰に憚って
秘すッということはないけれども、そりゃ不可いや。」 「嘘々々、」 口を尖らせ、....
「ある完全犯罪人の手記」より 著者:酒井嘉七
自分の体内には母と同じ血液が流れている筈である。こうした恐怖すべき事実を自分から
秘すために、父はあの心労、労苦を敢てしたのではあるまいか。――もう悪魔が箱の中か....