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秘めやか
「秘めやか〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
秘めやかの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「狂人は笑う」より 著者:夢野久作
ですが……。 ……ドウデス。ステキな話でしょう。それはもう何とも彼ともいえない
秘めやかな高貴な芳香が、歯の根を一本一本にめぐりめぐって、ほのかにほのかに呼吸さ....
「髪切虫」より 著者:夢野久作
にまかせ 御柩の 御片隅に 彼の虫の 木乃伊を作り
秘めやかに 納めまつりつ 女王様の 髪切虫の 生れまさ....
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
くらをしているような味気ないわたし達の雰囲気にひきくらべて、荒海の彼方へ夜ごとに
秘めやかな光芒をキラリキラリと投げつづけている汐巻灯台の意味ありげな姿が、どんな....
「女肉を料理する男」より 著者:牧逸馬
に、蟻《あり》も逃さぬ非常線が張りつめられ、濡《ぬ》れた舗道を踏んで、人の靴音は
秘めやかに鳴った。通行人のうち、男はすべて巡査か密行《みっこう》刑事か新聞記者だ....
「白くれない」より 著者:夢野久作
や群り起り、嫉妬の心、火の如くなりて今は得堪へず。錫杖の仕込刀を左手に提げて足音
秘めやかに方丈を忍び出で、二人を求めて跣足のまゝ本堂の周囲を一めぐりするに、本堂....
「花園の思想」より 著者:横光利一
を救い給え。」 彼は一握の桜草を引きむしって頬の涙を拭きとった。海は月出の前で
秘めやかに白んでいた。夜鴉が奇怪なカーブを描きながら、花壇の上を鋭い影のように飛....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
うと、
しッ! しッ!
と庭に犬を叱る低声《こごえ》とともに、コトコトコトと
秘めやかに雨戸が鳴って、
「おい! 源十、鈴源《すずげん》、俺だ……おれだよ。あ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
は嘆息する。それでも、その憂苦の影は、彼の恍惚《こうこつ》たる情に交じって、ある
秘めやかな快さをなおもっている。悲しみさえも今は晴れやかである。愛する楽匠らのこ....
「スポーツの美的要素」より 著者:中井正一
筋肉操作の美感。 「健康状態に在ってわれわれが自己の奥底の声に耳をすますとき、
秘めやかな、甘美な歌というべきものが聞える。生きていることを感ずること、そこにこ....
「生きること作ること」より 著者:和辻哲郎
ろう。私は差恥と絶望とで首を垂れる。 微妙な線、こまやかな濃淡、魔力ある抑揚、
秘めやかな諧調、そういう技巧においてもまた、私の生まれつきのうぬぼれは製作によっ....
「古寺巡礼」より 著者:和辻哲郎
凡に過ぎる光景ではあるが、しかしわれわれの心が和らぎと休息とを求めている時には、
秘めやかな魅力をもってわれわれの心の底のある者を動かすのである。古人の抱いた桃源....