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秘曲
「秘曲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
秘曲の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
くて貝の役は勤められず、若いときから他の役にまわされていたので、その家にある貝の
秘曲を伝え受けることが出来ませんでした。 わが子にゆずることの出来ないのは初め....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
観念から惹き起される一種の尊敬心で、例えば頽廃した古廟に白髪の伶人が端坐して簫の
秘曲を奏している、それとこれと同じような感があった。わたしは巻煙草をくわえながら....
「黒白ストーリー」より 著者:杉山萠円
情になった。仏前に茶碗を直し、畳の濡れたところをハンケチで拭いて尺八を取り出し、
秘曲中の
秘曲「雪」を吹き初めた。その調子はいつもとまるで違って美しく清らかであっ....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
いつも御褒美を頂戴していた。 続いて天保三年の春、師家へ入門の手続をして直ぐに
秘曲「翁」の相伝を受けた。時に利春十六歳と伝えられているが、これはその時代の事で....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
を放って、灯を白めて舞うのである。 舞いも舞うた、謡いも謡う。はた雪叟が自得の
秘曲に、桑名の海も、トトと大鼓の拍子を添え、川浪近くタタと鳴って、太鼓の響に汀を....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
当に稽古をした人は、吹けといえば誰でも吹きましょう、別に珍しい名前でもなければ、
秘曲というほどのものでもございません。ですから、私共のようなものでさえ、こうして....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ございましょうが、普化禅師《ふけぜんじ》の遷化《せんげ》なさる時の鈴の音に合せた
秘曲なんでございます、人間界から、天上界に上って行く時の音が、あれなんだそうでご....
「源氏物語」より 著者:紫式部
。女御にも女王にも琴はお教えにならなかったのであったから、このお稽古の時に珍しい
秘曲もお弾きになるのであろうことを予期して、女御も得ることの困難なお暇をようやく....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
たいます――余り不思議だから、熊野、とかに謡いかえると、またおなじように、しかも
秘曲だというのを謡うもんですから、一ぱし強気なのが堪らなくなって駆出すと、その拍....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
人になっていたことがありましたから」 「では大したものだ、獅々とか、吉簡とかいう
秘曲もふけるのじゃろ」 「とんでもない――」 「まあ、何でも好きなもの……いや自....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
。 関の明神の頂は、無明の琵琶を抱いて、ここに世を避けていたという、蝉丸道士の
秘曲を山風にしのばせて、老杉空をかくし、苔の花を踏む人もない幽寂につつまれている....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
琶、権ノ大夫冬信の笛、源中納言|具行の笙、治部ノ卿のひちりき、琴は宰相ノ公春など
秘曲をこらした。 なお、それにもまさる聞き物は、女蔵人ノ高砂、播磨の内侍たち、....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
って、しかも丑満下がり、おのおの琵琶を抱いて、故人の亡魂をなぐさめるため、当道の
秘曲をささげるなどの例は稀れにもなかったことである。 大床に居ながれた盲人四十....