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移り行く
「移り行く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
移り行くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「乞食学生」より 著者:太宰治
日よ 汝《いまし》帰らず その影を 求めて我は 歎くのみ ああ
移り行く世の姿 ああ
移り行く世の姿 塵をかぶりて 若人の 帽子《かむり》....
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
も異性的特殊存在の様態である。そうして、甘味を常態と考えて、対他的消極性の方向へ
移り行くときに、「いき」を経て渋味に到る路があることに気附くのである。この意味に....
「新生」より 著者:島崎藤村
を継続するがごときは禽獣《きんじゅう》の行為なりと仰せられ候。まことに刻々として
移り行く内部の変化を顧みることもなく、唯外観によりてのみ判断する時は、あるいは世....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
りにも若い人は殆ど無い。おおかたは水洟をすすっているような老人であるのも、そこに
移り行く世のすがたが思われて、一種の哀愁を誘い出さぬでもない。 その飴売りのま....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
に、尽く調があって、章と句と斉しく声を放って鳴くがごとく、何となく雲が出て、白く
移り行くに従うて、動揺を造って、国が暗くなる気勢がする。 時に湯気の蒸した風呂....
「嵐」より 著者:島崎藤村
を取り直して、また私は子供を護ろうとする心に帰って行った。 安い思いもなしに、
移り行く世相をながめながら、ひとりでじっと子供を養って来た心地はなかった。しかし....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
を指して流るゝ雲、渦まく雲、真黒に屯って動かぬ雲、雲の中から生るゝ雲、雲を摩って
移り行く雲、淡くなり、濃くなり、淡くなり、北から東へ、東から西へ、北から西へ、西....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
笛鳴りてこなたの列車はおもむろに動き初めぬ。開ける窓の下に坐して、浪子はそぞろに
移り行くあなたの列車をながめつ。あたかもかの中等室の前に来し時、窓に頬杖つきたる....
「病院の夜明けの物音」より 著者:寺田寅彦
が始まる。このようないろいろの騒がしい音はしばらくすると止まって、それが次の室に
移り行くころには、足もとの壁に立っている蒸気暖房器の幾重にも折れ曲がった管の中を....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
に静まり返る。そしてわれらのうら寒い背をかすめて永遠の時間が足音を忍んでひそかに
移り行くのを感ずるとき、われらの胸にはとりとめのない寂寥が影のように襲うであろう....
「日本天変地異記」より 著者:田中貢太郎
樋口富小路とかや、病人を宿せる仮家より出で来たりけるとなん。吹き迷ふ風に、とかく
移り行くほどに、扇をひろげたるが如く末広になりぬ。遠き家は煙にむせび、近き辺はひ....
「淡紫裳」より 著者:佐藤垢石
ない石には随分悩まされてきたのであろう。などとくだらぬことを話し合いながら飽かず
移り行く風景を眺めた。 ところが、京城へ着いて聞いてみると、やはり漢江とか洛東....
「サンカ者名義考」より 著者:喜田貞吉
賤者の名として用いられることになったのであろう。賤者の名称が同じ程度の他のものに
移り行く事は、もと主鷹司の雑戸なる餌取の名が、エタと訛って浄人・河原者等にも及び....
「六号室」より 著者:瀬沼夏葉
貴方が苦痛を嘗めて、私が嘗めないということではないのです。詮ずる所、苦痛も快楽も
移り行くもので、そんなことはどうでもいいのです。で、私が言おうと思うのは、貴方と....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
てしまう。遠い氷山のように、
幅広く堆く、不極まりな形をして、東の空に止まって、
移り行く日の大きい意味を目映く写している。
それでもまだ己の額や胸の辺には、薄....