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「移ろう〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

移ろうの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
校は祈祷《きとう》と、節欲と、殺情とを強制的にたたき込もうとした。十四の夏が秋に移ろうとしたころ、葉子はふと思い立って、美しい四寸幅ほどの角帯《かくおび》のよう....
或る女」より 著者:有島武郎
然に妻らしくまた母らしい本能に立ち帰って、倉地に対する情念にもどこか肉から精神に移ろうとする傾きができて来るのを感じた。それは楽しい無事とも考えれば考えられぬ事....
宣言一つ」より 著者:有島武郎
解決としての運動が、いわゆる学者もしくは思想家の手を離れて、労働者そのものの手に移ろうとしつつあることだ。ここで私のいう労働者とは、社会問題の最も重要な位置を占....
秋の暈」より 著者:織田作之助
知っていると言ってもよいくらいだが、夜明けの美しいのはやはり秋、ことに夏から秋へ移ろうとする頃の夜明けであろう。 五尺八寸、十三貫、すなわち痩せているせいで暑....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
は、僚艦一〇二及び一〇三と同じく、米国の大西洋艦隊が太平洋に廻航して、祖国襲撃に移ろうというその直前に、出来るだけ多大の損害を与えんとするものである。其の目標は....
爬虫館事件」より 著者:海野十三
て、卓上電話機を方々へかけていたが、やっとのことで、捜索隊がこれから爬虫館の方へ移ろうというところだと解ったので、その方へ帆村を案内して呉れることになった。 ....
地中魔」より 著者:海野十三
大辻老の参加 十人の地中突撃隊が警視庁前に勢揃をして、いよいよ勇ましい出陣に移ろうというその時だった。そこへ駈けつけたのは一人の少年と、布袋腹の巨漢、これは....
地獄の使者」より 著者:海野十三
――と、大寺警部は人柄にもなくはかない夢を抱いている。 「じゃあ、関係者の訊問に移ろう」 長谷戸検事がいい出した。 大寺警部は、それを確めるように検事の顔を....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
めて、給料をくれることになったから、どこか焼けていない牛込か芝の方に家を見つけて移ろうか。それともここで君と――」 「いやいやいや」とお千は大きくかぶりを振って....
死者の書」より 著者:折口信夫
けであった。 南家で持って居た藤原の氏上職が、兄の家から、弟仲麻呂―押勝―の方へ移ろうとしている。来年か、再来年の枚岡祭りに、参向する氏人の長者は、自然かの大師....
虫喰い算大会」より 著者:海野十三
でき、思わずにっこり微笑まるることであろう。 さて、いよいよこの覆面算の探偵に移ろう。 名探偵が、第一に目をつけたところは、上から五段目の CML である。....
方子と末起」より 著者:小栗虫太郎
とした大人の世界である。 やがて、末起にも訪れるものが来た。童女期から、大人へ移ろうとする境界に立って、郷愁のような遣る瀬なさ、あまい昏惑のなかでも、末起はと....
女侠伝」より 著者:岡本綺堂
るのは無益であると思ったので、わたしはその問答を好い加減にして、さらに他の話題に移ろうとすると、きょうのK君は不思議にいつまでも芝居の話を繰返していた。 「日本....
」より 著者:織田作之助
を悪くするばかりだとチリチリ焦躁を感じていたらしかったが、ほかのアパートや部屋へ移ろうとしない。その気になれないのだ。ほんのちょっとした弾みがつかないのである。....
おばけずきのいわれ少々と処女作」より 著者:泉鏡花
の事に到るごとに、心|自ら寒からざるを得ない。 迷信譚はこれで止めて、処女作に移ろう。 この「鐘声夜半録」は明治二十七年あたかも日清戦争の始まろうという際に....