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稀
「稀〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
稀の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
に立ち止まったりする。父親は勿論こう云う少年を時々叱ったりしないことはない。が、
稀《まれ》には彼自身も少年のいることを忘れたように帽子屋《ぼうしや》の飾り窓など....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
男のごとく容易に感服する人間は、滅多にない。いや、感服したような顔をする人間は、
稀《まれ》である。馬琴はおもむろに一服吸いつけながら、いつもの通り、さっそく話を....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
来たのは、小えんに対する同情なんだ。なるほど若槻は檀那《だんな》としては、当世|
稀《まれ》に見る通人かも知れない。が、あの女と別れるくらいは、何でもありませんと....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ら、大殿様と若殿様との間くらい、御容子《ごようす》から御性質まで、うらうえなのも
稀《まれ》でございましょう。大殿様は御承知の通り、大兵肥満《だいひょうひまん》で....
「じゅりあの・吉助」より 著者:芥川竜之介
ござる。」
奉行「してその紅毛人は、その後いずこへ赴いたぞ。」
吉助「されば
稀有《けう》な事でござる。折から荒れ狂うた浪を踏んで、いず方へか姿を隠し申した。....
「河童」より 著者:芥川竜之介
い僕らは小さかったのでしょう!)しばらくこの建築よりもむしろ途方もない怪物に近い
稀代《きだい》の大寺院を見上げていました。
大寺院の内部もまた広大です。そのコ....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
た。勿論《もちろん》日が暮れてから、厩橋《うまやばし》向うの本宅を抜けて来る事も
稀ではなかった。牧野はもう女房ばかりか、男女《なんにょ》二人の子持ちでもあった。....
「おしの」より 著者:芥川竜之介
南蛮寺《なんばんじ》の堂内へはただ見慣れぬ磔仏《はりきぼとけ》を見物に来るものも
稀《まれ》ではない。しかしこの女のここへ来たのは物好きだけではなさそうである。神....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
る東京市民のために袋叩《ふくろだた》きにされているのですよ。ただ山の手の巡回中、
稀《まれ》にピアノの音《ね》でもすると、その家の外に佇《たたず》んだまま、はかな....
「死後」より 著者:芥川竜之介
寝つかれない習慣を持っている。のみならずいくら本を読んでも、寝つかれないことさえ
稀《まれ》ではない。こう言う僕の枕もとにはいつも読書用の電燈だのアダリン錠《じょ....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
むねと》にはならなかった。女人《にょにん》に愛楽を生じたためしは、古今の聖者にも
稀《まれ》ではない。大幻術の摩登伽女《まとうぎゃにょ》には、阿難尊者《あなんそん....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
色《そんしょく》のあるのを免《まぬか》れません。ですから翁は蒐集家としても、この
稀代《きだい》の黄一峯《こういっぽう》が欲しくてたまらなくなったのです。
そこ....
「格さんと食慾」より 著者:芥川竜之介
。尤も本来の喜劇的精神は人を欺くことがあるかも知れない。が、己を欺くことは極めて
稀にしかない人である。 のみならず、又宇野浩二は喜劇的精神を発揮しないにもしろ....
「彼の長所十八」より 著者:芥川竜之介
時代軍人になる志望ありし由。 十八、正直なる事。嘘を云わぬと云う意味にあらず。
稀に嘘を云うともその為反って正直な所がわかるような嘘を云う意味。....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
て過ぎたり。金龍山の鐘の響くを欄干に背を倚せてかぞうれば十二時なり。これより行人
稀となりて両岸の火も消え漕ぎ去る船の波も平らに月の光り水にも空にも満ちて川風に音....