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「稀覯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

稀覯の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
モルグ街の殺人事件」より 著者:佐々木直次郎
ったのはモンマルトル街の名もない図書館で、そこで二人が偶然にも同じたいへん貴重な稀覯書《きこうしょ》を捜していたことから、いっそう親しくなったのであった。二人は....
失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、その所有は明らかに貴女へ帰すべきです」 法水の衣袋から、時価一千万円に価する稀覯本が取り出される刹那は、恐らく歴史的な瞬間でもあったし、また驚異と羨望とで、....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
紋章学※」と検事は呆れたように叫んだ。 「ウン、寺門義道の『紋章学秘録』さ。もう稀覯本になっているんだがね。ところで君は、こういう奇妙な紋章を今まで見たことがあ....
読書法」より 著者:戸坂潤
とに買うことにしたが、前者は近代物理学に関係があるので高価くて買えないし、後者は稀覯本が多くて、一向捗らない。ファシズムに関する日本で出た単行本は今でも注意して....
灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
丸善第一のビブリオグラアーたるKが焼灰で真黒になった草履穿きで煙の中を※失われた稀覯書の行衛を尋ねていた。 『ドウダネ、堀出し物でもあるかネ?』 『何にもありま....
十二支考」より 著者:南方熊楠
が大英博物館で読んだアンションの『閹人顕正論』は一七一八年ロンドン刊行で、よほど稀覯《きこう》の物と見え、右の目録にも見えぬ。因って全部二百六十四頁を手ずから写....
ジーキル博士とハイド氏の怪事件」より 著者:佐々木直次郎
るように、今日ではあるいは“first edition, scarce”(初版、稀覯」)の書の部類の片隅に入るかも知れない。薄茶色のクロース表紙の本である。しか....
魔都」より 著者:久生十蘭
東京の、純日本の精華である。 加十と向き合ったマントルピースの鏡に映ったのは、稀覯とも称すべきこのような美しい風景だった。いうまでもない、さっき真名古と対座し....
鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
が死んでしまったのでその希望も空しくなった。これは数年前、故|和田雲邨翁が新収|稀覯書の展覧を兼ねて少数知人を招宴した時の食卓での対談であった。これが鴎外と款語....
濹東綺譚」より 著者:永井荷風
下町|生粋《きっすい》の風俗を、そのまま崩さずに残しているのが、わたくしの眼には稀覯《きこう》の古書よりも寧《むし》ろ尊くまた懐しく見える。震災のころまでは芝居....
随筆 私本太平記」より 著者:吉川英治
関係の古今の刊本、文集、絵画などを総覧的に編集した奇特な“図書解題”で私も未見な稀覯本であった。なんの果報か、どうもよく何かと寄与ばかりうけている。申しわけない....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
義仲の駒王時代の遺蹟とか、民土風俗などを知るには、良い書であった。しかしこういう稀覯本になると、ほかで探しえられないので、後では困った。小説中の小ミダシにつかっ....
墓場」より 著者:西尾正
奇な研究についてはよく知っていましたし、或る程度まで関係もしていたのです。尨大な稀覯本の蒐集その中には稀に解し得ない本もあって、大部分はアラビア語だったと思いま....