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「稔り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

稔りの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
宿《とま》りごとに更けて、雑木の森には櫨《はじ》赤く爛《ただ》れ、野には稲黄色く稔り、農家の軒には、この辺の名物の柿が真紅の珠を連ねていた。 それは八月に入っ....
栗の花の咲くころ」より 著者:佐左木俊郎
痩せても枯れても庄屋の家だぞ。考えても見ろ! 何百人という人間を髭を捻《ひね》り稔り顎《あご》で使って来てる大請負師《おおうけおいし》だぞ。何は無くっても家柄《....
水の女」より 著者:折口信夫
いては、別に言うおりもあろう。ただ、木の花の散ることの遅速によって、稲の花および稔りの前兆と考え、できるだけ躊躇わせようとしたのが、意義を変じて、田には稲虫のつ....
たぬき汁」より 著者:佐藤垢石
読してなんとなく、一抹の虚寂を感じた。と、いうのは猪の身の上のことである。団栗の稔りの秋に、小学生が大挙して山野を跋渉すれば、猪群は忽ち食料難に陥るだろう。 ....
青春の息の痕」より 著者:倉田百三
仕事に助けを与えて下さるように願いいたします。あなたの貴い学問上のお仕事に豊かな稔りのあるように祈っています。京都へは時々出る気ですからその時は寄せてもらいます....
えぞおばけ列伝」より 著者:作者不詳
はこうだった.アイヌでは,畑に種子を播くのに,シギの卵を潰してそれに浸して播くと稔りがいいという俗信があるので酋長の妻はわざわざシギの卵を捜してきて,それにアワ....
私本太平記」より 著者:吉川英治
も、強欲で情け知らずと、憎まれていて」 「飢饉つづきのせいもあろ」 「ええ今年も稔りが薄いといって、怯えていました。だのに若い人すら働く気がなく、博奕流行り、踊....
木綿以前の事」より 著者:柳田国男
りも重要な一つの区切りであった。暦書が大陸から渡ってこなかった以前には、年の境は稔りをもって目標としたろうとも言われている。近代においても必ず感謝の祭があり、ま....
黒田如水」より 著者:吉川英治
着まで一里余の道を――折ふしの晩秋の山野を眺めながら――、 「ありがたいな、田の稔りも、今年は良かったとみえる。紅葉も見頃。百姓たちの顔色も明るいぞ」 道連れ....
年中行事覚書」より 著者:柳田国男
りてやすらうべき田をもっておられなかった。そうして活きて働く彼等と共に、その田の稔りを豊かにすることが、同時にまた自分たちの永く血食する道でもあった、という風に....