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稚く
「稚く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
稚くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「伸子」より 著者:宮本百合子
あったさまざまの思い違い、子供らしい夢想、あれがたった二年前と思えないほど若く、
稚く、夢中であった自分の信頼などを思って泣いた。けれども、泣きつつ、人生の結局の....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
るることを適当でないとは思わない。もとよりこの書には、ことにその初めの頃のものは
稚く、かつ若さに伴う衒気と感傷とをかなりな程度まで含んでいる。しかしながら自分は....
「若い婦人の著書二つ」より 著者:宮本百合子
現実にはほとんど全く成り立たないものだということを知っていないほど、著者は人生に
稚く、それが娘の心だというのであろうか。 男と女とが互に束縛する重さを愛の量だ....
「若き精神の成長を描く文学」より 著者:宮本百合子
望の成就しか目ざさずそのために未来は人間のよろこびとなる存在であったかもしれない
稚く美しく哀れな生命の幾つかが圧しつぶされ、壊滅してゆくことについては全く鈍感に....
「婦人と文学」より 著者:宮本百合子
ないこの作者が、女および作家としてなみなみでない過程を経て到達した今日という日、
稚く浄い「キャラメル工場から」が、又新しく出版されてゆく今日という時代の動きの中....
「作家の経験」より 著者:宮本百合子
!)その機微につき入る親切も、辛辣ささえももたなかった。そのようにおさなかった。
稚く、こわばって、まじめであった。 この事実は、日本における社会主義的リアリズ....
「女の行進」より 著者:宮本百合子
さらしていないように、と特別の注意がされて来ていたのだろう。女学校の女の子は年も
稚く、肉体の変化も激しい時期であるし体質もさまざまであろうと思う。一様に日傘をさ....
「若い人たちの意志」より 著者:宮本百合子
憎み悲しまなかった若いひとびとがあるだろうか。十代の人間悲劇は、社会関係に対して
稚く、しかも全く激烈であるということに特色をもっている。 文学が青春の周辺にあ....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
男の児にしてはちと綺麗過ぎるから女の児――だとリボンだね。――青いリボン。……幼
稚くたって緋と限りもしないわね。では、やっぱり女の児かしら。それにしては麦藁帽子....
「稚いが地味でよい」より 著者:宮本百合子
ブ』などにのせれば同感をもってよむひとは少くないだろうと思った。 作者の心持が
稚くても、ふっくりとしていて、描かれている農村の生活の細目も自然にうけとれた。た....
「あとがき(『宮本百合子選集』第六巻)」より 著者:宮本百合子
道標」及びこれからかきつづけられてゆくいくつかの続篇をとおして、「伸子」のうちに
稚くひびいている主題は追求され展開されてゆくであろう。 伸子一人の問題としてで....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
べく無邪気な気持で、彼等に逢ってもらいたい。妖精というものは姿も可愛らしく、心も
稚く、少しくこちらで敵意でも示すと、皆怖がって何所とも知れず姿を消して了う。人間....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
出で来る月の光ともしき」とあるのも全体が似て居るが、この巻七の歌の方が、何となく
稚く素朴に出来ている。それだけ常識的でなく、却って深みを添えているのだが、常識的....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
す。私は本来決して便宜的な人間ではない。又、食うため云々を、素朴に買いかぶるほど
稚くもありません。土台、食うためになった作家なのじゃないのだから。世態と日常とは....
「山の人生」より 著者:柳田国男
して小賢しい者の干渉を受けずに、ほぼうぶな形をもって今日までも続いてきた。例えば
稚くして山に紛れ入った姉弟が、そのころの紋様ある四つ身の衣を着て、ふと親の家に還....