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「稚子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

稚子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虞美人草」より 著者:夏目漱石
なん》にも言わぬ。床《とこ》に懸《か》けた容斎《ようさい》の、小松に交《まじ》る稚子髷《ちごまげ》の、太刀持《たちもち》こそ、昔《むか》しから長閑《のどか》であ....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
もあった。西洋人に日本の郷土色を知せるには便利だろうという実業家の心尽しだった。稚子髷に振り袖の少女の給仕が配膳を運んで来た。 K・S氏はそこで出た料理の中で....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
大形の紅色の花を着けたのが、消炭の火のように、かえって暗い感じをさせる。車百合、稚子百合、白花蛇イチゴ、コケモモ、ゴゼンタチバナ、ヤマオダマキなどが、陰森たる白....
十二支考」より 著者:南方熊楠
ら推せば、これら諸魚の父たる海中の竜が、能く馬を孕ますほど親縁のものたるは、その稚子《ちし》また眷族《けんぞく》なる件の諸魚が半竜半馬の相を具うるので照々たりと....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
歌なのかも知れない。 ○ 稲舂けば皹る我が手を今宵もか殿の稚子が取りて嘆かむ 〔巻十四・三四五九〕 東歌 「皹る」は、皹のきれることで、ア....
蛋白石」より 著者:宮本百合子
ますよ、 あの何となし好い色の叩いて見た――あい形をしたのをねえ、 美くしい稚子がその前に座って舞楽を奏した時代がしのばれますよ、 あの時代には御飯なんか....
桜の森の満開の下」より 著者:坂口安吾
は別の坊主の首を持ってくるように命じました。新しい坊主の首はまだうら若い水々しい稚子の美しさが残っていました。女はよろこんで机にのせ酒をふくませ頬ずりして舐めた....
稚子法師」より 著者:国枝史郎
などは、当時の国禁を窃に破って追腹を切った程である。 で、私の物語ろうとする『稚子法師』の怪異譚は即ち蘇門病歿の時を以て、先ず其端を発するのである。 不時の....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
く、霞の奥所にまどろんでおれば、知恩院、聖護院、勧修寺あたりの、寺々の僧侶たちも稚子たちも、安らかにまどろんでいることであろう。鴨の流れは水音もなく、河原の小石....
落語・教祖列伝」より 著者:坂口安吾
ば人にかみつく心配はない。四年目の大祭には近郷近在から参詣人があつまる。ちょうど稚子舞いの始るころが、参詣人の出盛りだな。ドン、ドオン、と大太鼓を打ちならす。い....
竹本綾之助」より 著者:長谷川時雨
だね―― との小書《こが》きがつけてあった。 そうするうちに五分刈の綾之助は稚子髷《ちごまげ》になった。また男髷になった。十四、十五と花の莟《つぼみ》は、花....
地上」より 著者:島田清次郎
田が(彼は学校を自分一人の学校のように平常からあつかっていた)美少年の深井に、「稚子さん」になれ、と脅迫しているところだった。 「いいかい、深井、な」と長田は深....
法然行伝」より 著者:中里介山
南谷に鐘下房少輔《しょうげぼうしょうゆう》という頭脳のよい僧侶があったが、弟子の稚子《ちご》に死なれて眼前の無常に驚き、三十六の年遁世して法然の弟子となり、成覚....
」より 著者:中谷宇吉郎
おるのだ。 さればといって 稲|舂《つ》けば皸《かが》る我が手を今宵もか殿の稚子《わくご》が取りて嘆かむ(万葉集巻十四、東歌) の古代の娘のように、今日の農....
野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
の浅藻という村でも、やはりタンポポを「酒買い坊」といっている。 多くの野の草が稚子を名付親にしていたことを知って、始めてタンポポという言葉の起りが察せられる。....