»
稟
「稟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
稟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
、曲がり角《かど》の朽ちかかった黒板塀《くろいたべい》を透《とお》して、木部から
稟《う》けた笑窪《えくぼ》のできる笑顔《えがお》が否応なしに吸い付いて来た。……....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
取り返しのつかない死出の旅をしないでいてくれ。もし彼に独自の道を切り開いて行く天
稟がないのなら、どうか正直な勤勉な凡人として一生を終わってくれ。もうこの苦しみは....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ないか。ジェームスは古来色々に分派した凡ての哲学の色合は、結局それをその構成者の
稟資(temperament)に帰することが出来るといっている。これは至言だとい....
「食魔」より 著者:岡本かの子
・俵やをはじめ市中の名料理へ飲食に連れて行った。彼は美食に事欠かぬのみならず、天
稟から、料理の秘奥を感取った。 そうしているうち、ふと鼈四郎に気が付いて来たこ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
虚妄を構成するに適わしい記述があるからなんだ。勿論、僕が求めているのは、犯人の天
稟学だったのさ。あの中にある風精の印象を一つに集めて、それに観照の姿を浮ばしめる....
「桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
よと叫び涙を流した。 政秀の諫死によって信長大いに行状を改めたが同時に、その天
稟の武威を振い出した。 十六歳の時から桶狭間合戦の二十七歳までは席の安まる間も....
「死者の書」より 著者:折口信夫
たる人の考えをすら、否みとおす事もある姥たちであった。 其老女たちすら、郎女の天
稟には、舌を捲きはじめて居た。 もう、自身たちの教えることものうなった。 こう思....
「砂書きの老人」より 著者:上村松園
作に描きわけてゆく。 どのように練習しても、ああはうまくかけるものではない。天
稟の技というのはああいうのをさして言うのであろう。またそれは、あの貧しい老爺だけ....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
。 人間は、自分の力の限りというものを知っている。 けれども、稀に出る、高い
稟性を持つ人物というものは、よく自分を、人間以上のとんでもない位置に置きたがるも....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
で類例を求むれば、やはりドオデエに似寄ったところがあったのではなかろうか。 天
稟の美しい情緒を花袋はもっている。それを禅に参ずる居士が懐くような自負心で掩うて....
「チチアンの死」より 著者:木下杢太郎
て且つ賢きこと童子の如きもの、果して有るを得るか。 アントオニオ 誰か能く彼の天
稟に参通し得る者ぞ。 バチスタ 誰かよく彼の知識の前に悚然たらざるを得るか。 パ....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
が灼熱的であろうか、と期待しましたのに、……どうも冷たい。いかにも冷やかですが、
稟性のしからしむる処ですかな。あるいは、あなた方、先生の教えは、芸に熱して、男女....
「奥州における御館藤原氏」より 著者:喜田貞吉
附をもって泰衡追討の「宣旨」を下された。その文に、 陸奥国住人泰衡等、梟心性を
稟け辺境に雄張す。或は賊徒を容隠して猥に野心を同じうし、或は詔使に対捍して朝威を....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
には無駄がなく、随って有意義に一生を使い得ると思います。 しかし、何が自分の天
稟に備わっているのか、何が他人にくらべて自分の特長であるか、それは、なかなかたや....
「鮎を食う」より 著者:北大路魯山人
ないでよい。醤油をつけて照り焼きなどにすれば、醤油の香りや味醂に邪魔され、その天
稟の香気は、たちまち滅してしまう。また、そのはらわたを抜いてしまったのでは、鮎そ....