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種名
「種名〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
種名の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
の声には黄なのも、青いのも、赤いのも、黒いのもあるが互に畳《かさ》なりかかって一
種名状すべからざる音響を浴場内に漲《みなぎ》らす。ただ混雑と迷乱とを形容するに適....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
磅※たるものに打たれたのみで、まるで巨大な掌にグイと握り竦められたかのような、一
種名状の出来ぬ圧迫感を覚えたのであった。そして、しばらくその篆刻文を瞶めていたが....
「自画像」より 著者:寺田寅彦
もかえって、父の先妻、しかもなくなった先妻にそっくりなので、始めて見たK君は、一
種名状のできないショックを感じたそうである。K君の認めた相似が全くオブジェクティ....
「錯覚数題」より 著者:寺田寅彦
じって愉快な見ものであった。なんという名のばらか知りたいと思ったが、現場には、品
種名の建て札もなく、まただれの出品かもわからなかった。数日後にまた日比谷で「ばら....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
るであろう。清く崇き鐘の音をして花に浮き立つ群衆を散らしめよ。人無き後の公園は一
種名状すべからざる神秘的寂寥を極むるであろう。清い柔らかな風がいま一度吹き渡る。....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
せ、それに、笠を飛ばされて台ばかり紐で結えた面構え。誰も笑う者はないが、自分が一
種名状すべからざる皮肉の色をたたえて、ニヤニヤと笑っている。笑っているのではなか....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
込みました。人間に抱えられたと見ると、なおいっそうはばたきと暴勢とを加え、また一
種名状し難い哀叫怒号を加えて荒れ廻るのを、米友は籠ぐるみ牛蒡抜《ごぼうぬ》きにし....
「墓」より 著者:秋田滋
そしてこの女を更によく知りますと、彼女に会いたい、会いたいという思いだけが、一
種名状しがたい、深い、云い知れぬ興奮で、わたくしの心を揺ぶるのでした。自分の掌の....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
親である一紳士とであることを知った。その紳士というのは、頭髪の真白な点と、顔に一
種名状しがたい強さがある点とで、極めて目に立つ外貌の男であった。強さと言っても活....
「南極の怪事」より 著者:押川春浪
、一頭の巨鯨の潮ふけるが見ゆるばかり、かかる光景を見ては、いかなる人といえども一
種名状すべからざる寂寞の感に打たるるものなり、今船はいかなる状態にていかなる方角....
「魔都」より 著者:久生十蘭
ンク》の真っ只中にいる。陶酔といおうか戦慄といおうか、或はまた法悦といおうか、一
種名状し難い酩酊状態が、さなきだに朦朧たる加十の大脳を麻痺させ、しんじつ夢に夢見....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
ち百合はこのシナユリ一名白雪ユリの新和名に対する中国名で Lilium sp.(
種名未詳)である。繰り返していうが、こんなわけであるから「百合」というのは前記の....
「植物知識」より 著者:牧野富太郎
、Paeonia suffruticosa Andr. の学名を有している。この
種名の suffruticosa は、亜灌木《あかんぼく》の意である。また Pa....
「余齢初旅」より 著者:上村松園
そこを一歩奥の方へはいり込むと、何とおどろくべきことか、まるで乞食の巣のような一
種名状すべからざる怪奇なところがあり、うす気味悪い戦慄がおもわず肌を走るのをおぼ....
「子規居士と余」より 著者:高浜虚子
も一層怪し気であった。 御院殿の坂下で余は居士に別れた。余は一人になってから一
種名状し難い心持に閉されてとぼとぼと上野の山を歩いた。居士に見放されたという心細....