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種板
「種板〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
種板の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二十世紀旗手」より 著者:太宰治
との鞘《さや》におさめていたのに、その夜の現像室は、阿鼻叫喚《あびきょうかん》、
種板みごとに黒一色、無智の犯人たちまちばれて、その日より以後、あなたは私に、胴乱....
「映画時代」より 著者:寺田寅彦
た試みに伴のうた強烈なる法悦の記憶に比べてかえって希薄である。 その時の映画の
種板はたいてい一枚一枚に長方形の桐製《きりせい》のわくがついていて、映画の種類は....
「振動魔」より 著者:海野十三
会社の外交員と、保険医とをうまく買収して、あの奇抜なレントゲン写真をとらせ、その
種板を持ってゆかれたことを知りましてねえ、町田狂太さん、貴方は、正面と横とから、....
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
眼に映じ尽せり、今思うに此時の余の眼は宛も写真の目鏡の如くなりし歟、眼より直ちに
種板とも云う可き余の心に写りたる所は最と分明なるのみかは爾後幾年を経たる今日まで....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
手帳に記された二、三の写真館を訪ねた。驚いた事にはどの写真館でも石子刑事の求める
種板はすべて最近に買収せられていた。無論支倉の仕業に相違ない、余りの彼の機敏さに....
「石を投ぐるもの」より 著者:宮本百合子
法省の部内にも種々の動きが在ることを新聞は報じている。そして、その動きは、二枚の
種板が一つの暗箱の中でずって動くように、上層官吏と下級官吏との間で、いくらかずつ....
「ヒューメーンということに就て」より 著者:豊島与志雄
者は、余りに頭がよく或は余りに頭が悪いのである。 眼に見えないものをも、写真の
種板に写らないものをも、掴み出してくるのが芸術家の本当の仕事だ。掴み出してきた物....
「物理学の応用について」より 著者:寺田寅彦
はないはずである。人間の眼に感ずる極限といっても判然たるものではない。また写真の
種板に感ずるのも照射の時間によって色々になるものである。それで問題も物理的に明白....
「レーリー卿(Lord Rayleigh)」より 著者:寺田寅彦
で取ったのであった。レーリーは縮写に失敗した後(一八七一)、このガラス格子を写真
種板に直接に重ねて焼付けることを試みたらすぐ成効してたいそう嬉しがった。粒の粗い....
「話の種」より 著者:寺田寅彦
真器械から小さい糸を前方に張り、獣がこれに触るると同時に器械のシャッターが開いて
種板に写る仕掛けがしてある。また夜間ならば糸に触れると点火器の引金が落ち、マグネ....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
たところと、いろいろな姿態を硝子《ギヤマン》に極彩色で描いた、五枚から八枚までの
種板《コマ》を嵌めこみ、幕のうしろにいくつも写箱をならべて交互にこれを使用する。....
「平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
その後にある鏡に焦点を結び、その光はそれと相対の位置に据付けてある幻燈《フロ》の
種板《たねいた》とレンズを透して反対側の壁に像を結ぶという他愛のない仕掛なのであ....
「ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
られて放免されたのは夕方の六時ごろ。その写真機をお下げ渡しになる時、大将は、 「
種板には豚の子ばかし写っとったそうだ」と、ひとこと附け加えてくれた。 九、家に....
「土田さんの芸術」より 著者:上村松園
棲んでいてお酒が好きでいつもお酒ばかり飲んでる様な人だったが、二階に上ると写真の
種板を一杯もっていた。それが皆、それこそ後には国宝になったりした様な仏像や絵巻の....
「蛇性の執念」より 著者:大倉燁子
上げかねますが、このお写真はたった一枚を残して全部破り棄てられたのでございます。
種板までも――』 『そして残った一枚は?』 『それは――。その一枚を持っていた人....