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種油
「種油〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
種油の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「坑夫」より 著者:夏目漱石
う》な顔をしていた。 「冗談《じょうだん》じゃねえ。何が這入《へっ》てると思う。
種油《たねあぶら》だよ、しずくぐらいで消《けえ》てたまるもんか」 自分はこれで....
「天主閣の音」より 著者:国枝史郎
量が減少する。偖、次は製薬法だ。壺から竹の皮へ移さなければならない。これへ小量の
種油を雑ぜる。二十五日間天日に干す。尚暖爐を用いてもいい。乾いた所で薬研へ入れる....
「小祝の一家」より 著者:宮本百合子
いの文字で罵倒しているのであった。小祝勉殿と書いてある封筒の下のところに、ひどい
種油の汚点がついて、それがなかみまで透っている。 故郷のA市で、貞之助はここ数....
「老夫婦」より 著者:黒島伝治
なか、カワラケを持って来い。」 「ヘイ、ヘイ。」おしかは神棚から土器をおろして、
種油を注ぎ燈心に火をともした。 両人はその灯を頼りに、またしばらく夜なべをつゞ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
散髪屋、鍛冶屋、薬屋、肴屋などが曲りくねって、でこぼこにつづいている。その間に、
種油を搾る家が、何軒もあって、その前を通ると香ばしい匂いが鼻をうった。 どの家....
「非情の愛」より 著者:豊島与志雄
ってる通り、本堂があって、それから少し離れたところに、お蝋所と称する場所、蝋燭や
種油などの灯明をつけて祈念する場所が、たいていあるものだ。そして普通は、このお蝋....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
くなくとも昨夜の六ツ半ごろまではたしかにこの船にひとのいたということは、油灯の菜
種油《なたねあぶら》のへりぐあいを見てもすぐわかる。 ゆうべの暮六ツどころでは....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
緒にいると我儘をいうのも時間制度よ。 アンリーはあたしを燃やし尽そうとする。菜
種油で自動車を動かそうとする。 触って呉れずに愛して呉れたらねえ。 まわりの....
「茶粥の記」より 著者:矢田津世子
庭欄でも述べたことがあった。胡麻油などをつかう並みの天麩羅とちがって黄檗のは古い
種油と鼠の糞のようなボトボトの堅いメリケン粉を用いる。この粉を水に溶く段取りにな....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ならず、本堂の中には三千五千のバタの燈明が燈って居るです。バタの光というものは菜
種油の光よりも非常に白く、ちょっとガスの火に似て余程明るいです。
そういう中で....
「性に眼覚める頃」より 著者:室生犀星
人は、よく父の道楽が、御燈明を上げることだなどと言っていた。それほど父は高価な菜
種油を惜まなかった。父自身も、 「お燈明は仏の御馳走だ。」と言っていた。 しか....
「年中行事覚書」より 著者:柳田国男
油ものを食べぬと凍えるというだけだが、東北は一般にこの日を油しめといって、始めて
種油を搾らせ、それを使っていろいろの食物をこしらえる。必ず神に供え、またそのこと....
「それから」より 著者:夏目漱石
――どうも何ですな。大分御忙がしい様ですな。先生た余っ程違ってますね。――蟻なら
種油を御注《おつ》ぎなさい。そうして苦しがって、穴から出て来る所を一々殺すんです....