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稲妻
「稲妻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
稲妻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
動かして、いっそう騒然と、立ちのぼった。
沙金《しゃきん》は、月を仰ぎながら、
稲妻のごとく眉《まゆ》を動かした。
「しかたがないわね。じゃ、わたしたちだけ帰り....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
また頭《かしら》の上で、振りまわしたと思いますと、その護符の金色《こんじき》が、
稲妻のように宙へ飛んで、たちまち私どもの眼の前へは、恐ろしい幻が現れたのでござい....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
私の邪推ばかりだったでしょうか。とにかく私はこの短い応答の間に、彼等二人の平生が
稲妻のように閃くのを、感じない訳には行かなかったのです。今思えばあれは私にとって....
「河童」より 著者:芥川竜之介
思い出しました。それから、――それから先のことは覚えていません。僕はただ目の前に
稲妻《いなずま》に似たものを感じたぎり、いつの間《ま》にか正気《しょうき》を失っ....
「お時儀」より 著者:芥川竜之介
またお時儀などをしてしまったのであろう? あのお時儀は全然反射的である。ぴかりと
稲妻《いなづま》の光る途端に瞬《またた》きをするのも同じことである。すると意志の....
「路上」より 著者:芥川竜之介
せつな》の間、あの古ぼけた教室の玄関に、雨止《あまや》みを待っていた彼女の姿が、
稲妻《いなずま》のように閃いた。と思うと、電車はもう速力を早めて、窓の内の二人の....
「竜」より 著者:芥川竜之介
ではございませんか。のみならず神鳴《かみなり》も急に凄じく鳴りはためいて、絶えず
稲妻《いなずま》が梭《おさ》のように飛びちがうのでございます。それが一度鍵の手に....
「白」より 著者:芥川竜之介
、危く轢死《れきし》を遂《と》げようとした。その時|逞《たくま》しい黒犬が一匹、
稲妻《いなずま》のように踏切へ飛びこみ、目前に迫《せま》った列車の車輪から、見事....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
》の天のように、渦巻く疑惑の雲を裂《さ》いて、憤怒《ふんぬ》と嫉妬《しっと》との
稲妻が、絶え間なく閃《ひらめ》き飛んでいた。彼を欺《あざむ》いたのはあの娘であろ....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
、発作が止んで、前よりも一層幽鬱な心が重く頭を圧して来ると、時としてこの怖れが、
稲妻のように、己《おのれ》を脅《おびや》かすのを意識した。そうして、同時にまた、....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
ほど、男らしく云い切りました。その間も雷はいよいよ烈しくなって、昼ながらも大幅な
稲妻が、ほとんど絶え間なく滝のような雨をはたいていましたが、お敏はもうその悲しさ....
「或る女」より 著者:有島武郎
古藤が勢いよくあけるのを待って、中にはいろうとして、八分通りつまった両側の乗客に
稲妻《いなずま》のように鋭く目を走らしたが、左側の中央近く新聞を見入った、やせた....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
り、四辺はさながら真夜中のような暗さに鎖されたと思う間もなく、白刃を植えたような
稲妻が断間なく雲間に閃き、それにつれてどっと降りしきる大粒の雨は、さながら礫のよ....
「杜子春」より 著者:芥川竜之介
すると一陣の風が吹き起って、墨のような黒雲が一面にあたりをとざすや否や、うす紫の
稲妻がやにわに闇を二つに裂いて、凄じく雷が鳴り出しました。いや、雷ばかりではあり....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
る。明治時代もあらゆる時代のように何人かの犯罪的天才を造り出した。ピストル強盗も
稲妻強盗や五寸釘の虎吉と一しょにこういう天才たちの一人だったであろう。僕は彼が按....