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「稲束〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

稲束の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
二銭銅貨」より 著者:黒島伝治
に吃驚《びっくり》して、 「健よ、はい来い!」と声を顫わせて云った。 健吉は、稲束《いなたば》を投げ棄てゝ急いで行って見ると、番をしていた藤二は、独楽の緒を片....
十八時の音楽浴」より 著者:海野十三
かしその扉の奥に、また別の扉が厳然と閉っているのを見たとき、索敵戦隊の勇士たちは稲束が風に倒れるように、ヘタヘタと尻餅をついてしまった。 女大臣は国民戦隊を編....
夜の靴」より 著者:横光利一
月――日 晴れたかと思うとこの日も驟雨だ。遠山に包まれた平野の架の棒に刺さった稲束が、捧げつつをした数十万の勢揃いで、見渡すかぎり溢れた大軍のその中に降り込む....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
て、竹の子笠を冠っていました。……端折った片褄の友染が、藁の裙に優しくこぼれる、稲束の根に嫁菜が咲いたといった形。ふっさりとした銀杏返が耳許へばらりと乱れて、道....
ほととぎす」より 著者:堀辰雄
休めになった。その川を前にして果てしもなく拡がっている田の面には、ところどころに稲束《いなたば》が刈り干されていた。たまたま私達の許《もと》に訪れて来るような人....
山の秋」より 著者:高村光太郎
のようだ。毎日総出で朝から晩まで休む暇もない。天候との競争のように見える。刈った稲束は一たん田の畔に逆さに並べられて幾日か置かれる。それからやがて本式に稲架にか....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
。 仁王門の柱に、大草鞋が――中には立った大人の胸ぐらいなのがある――重って、稲束の木乃伊のように掛っている事は、渠が小児の時に見知ったのも、今もかわりはない....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
なって時々日の目をもらす。 往手にあたって黒い大きな門が見える。刈ったばかりの稲束が、五つ六つ柱によせかけてある、人夫は「これが小室の妙法寺で、本堂は一、二年....
木綿以前の事」より 著者:柳田国男
りをもって終りを告げた時代のあったことを意味する言葉である。大宝令の時代の分配は稲束をもってした。租稲はもとより正税出挙の出納までが、ことごとく何束何把をもって....
年中行事覚書」より 著者:柳田国男
、ごろりと横に寝かすのをニヨーチンダというのだそうだが、これならばなるほど稲村に稲束を積み上げるのとちとばかり似てもいる。 江戸大阪の昔の正月言葉で、稲積むと....
母の手毬歌」より 著者:柳田国男
った。これだと荷繩を掛けるための時間は、はぶかれるが、そのかわりには柴とか萱とか稲束とか、ぜひともしっかりと束にむすんだもので、棒を刺しても損じない物でなければ....