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「稲荷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

稲荷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
土蔵《どぞう》へお栄をつれて行きました。 土蔵の奥には昔から、火伏《ひぶ》せの稲荷《いなり》が祀《まつ》ってあると云う、白木《しらき》の御宮がありました。祖母....
美術曲芸しん粉細工」より 著者:阿部徳蔵
花とが一致することはいふまでもない。これが、奇術応用の『曲芸しん粉細工』である。稲荷魔術の発明者として有名な、神道斎狐光師は、このしん粉細工にも非常に妙を得てを....
江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
流行った位だ。 売声で今一つ明治前に名高かったのは、十軒店の治郎公というのが、稲荷鮨を夜売り歩いた。この治郎公は爺でしたが、声が馬鹿に好い、粋な喉でしたので大....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
あったけれど、まるで足りない。煩っていなさる母さんの本復を祈って願掛けする、「お稲荷様のお賽銭に。」と、少しあれたが、しなやかな白い指を、縞目の崩れた昼夜帯へ挟....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
角を広々と黒塀で取廻わした片隅に、低い樹立の松を洩れて、朱塗の堂の屋根が見える、稲荷様と聞いた、境内に、何か催しがある……その音であろうと思った。 けれども、....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
。が、日の短い頃であるから、五時そこそこというのにもうとっぷりと日が暮れて、間は稲荷山ただ一丁場だけれども、線路が上りで、進行が緩い処へ、乗客が急に少く、二人三....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
れで一ツずつ、生々とした香の、煙……と申して不思議にな、一つ色ではございません。稲荷様のは狐色と申すではないけれども、大黒天のは黒く立ちます……気がいたすのでご....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
、縁台に※と落つ。 走り寄ったは婦ども。ばらばらと来たのは小児で。 鷺の森の稲荷の前から、と、見て、手に薬瓶の紫を提げた、美しい若い娘が、袖の縞を乱して駈寄....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
の成美の末葉ででもあろうと思うと、違う。……田畝に狐火が灯れた時分である。太郎|稲荷の眷属が悪戯をするのが、毎晩のようで、暗い垣から「伊作、伊作」「おい、お祖母....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、ひらひらと風次第に靡くが見えたし、場処によると――あすこがもう水道橋――三崎|稲荷の朱の鳥居が、物干場の草原だの、浅蜊、蜆の貝殻の棄てたも交る、空地を通して、....
黒百合」より 著者:泉鏡花
窓との間の狭い路地を入った突当りの貧乏長家に育って、納豆を食い、水を飲み、夜はお稲荷さんの声を聞いて、番太の菓子を噛った江戸児である。 母親と祖父とがあって、....
梵雲庵漫録」より 著者:淡島寒月
十軒店にも治郎公なぞと呼んでいた鮨屋が、これも美い声で淫猥な唄ばかり歌って、好く稲荷鮨を売りに来たものだった。 四 明治も十年頃になると物売りも....
三枚続」より 著者:泉鏡花
な刃鳴がする、と誉め称えて、いずれも紋床々々と我儘を承知で贔屓にする親方、渾名を稲荷というが、これは化かすという意味ではない、油揚にも関係しない、芸妓が拝むとい....
式部小路」より 著者:泉鏡花
その店請というのは、何ですよ。兜町の裏にまだ犬の屎があろうという横町の貧乏床で、稲荷の紋三郎てッて、これがね、仕事をなまけるのと、飲むことを教えた愛吉の親方でさ....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
供を連れたお婆あさんが二人曇天の大川を眺めながら、花見か何かにでも来ているように稲荷ずしを食べて話し合っていた。 本所会館の隣にあるのは建築中の同愛病院である....