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「稿本〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

稿本の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
って御目にかけるほどのものも出来ませんが、近日詩集を出して見ようと思いまして――稿本《こうほん》を幸い持って参りましたから御批評を願いましょう」と懐から紫の袱紗....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
をとめて見た覚えがある。見台の上に、先師|畢生の大きな著述とも言うべき『古史伝』稿本の一つが描いてあったことも、半蔵には忘れられなかった。あだかも、先師はあの画....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
たとはいうものの、東国の物情はとかく穏やかでないと聞いて、江戸にある平田|篤胤の稿本類がいつ兵火の災に罹るやも知れないと心配し出したのは、伊那の方にある先師没後....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
余等は五郎君の霊に引張られて今此処に来て翁と対座して居るのである。 翁は一冊の稿本を取り出して来て示される。題して関牧場創業記事と云う。披いて見ると色々面白い....
詩の原理」より 著者:萩原朔太郎
したからである。特に自由詩に関する議論は、それだけで既に三百枚の原稿紙になってる稿本『自由詩の原理』を、僅《わず》かこの書の一二章に縮小し、大略の要旨だけを概説....
平凡」より 著者:二葉亭四迷
ヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽヽ (終) 二葉亭が申します。此稿本は夜店を冷かして手に入れたものでござりますが、跡は千切れてござりません。一寸....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
と看ればいい。 結句の原文は、「許芸乞菜」で、旧訓コギコナであったが、代匠記初稿本で、「こぎ出なとよむべきか」という一訓を案じ、万葉集燈でコギイデナと定めるに....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
なもので、風守の筆跡の見事なことも驚嘆すべきものであった。コヨリでとじた何冊かの稿本があり、そこに風守の自署があって、彼の作った詩文であった。そこに朱筆が入れて....
自転車嬢の危難」より 著者:ドイルアーサー・コナン
わしい我々の生活から、永久に消え去ってしまった。 しかしこの事件のことを記した稿本の末尾には、ちょっとした追記があって、ヴァイオレット・スミス嬢は、たしかに大....
雪の宿り」より 著者:神西清
れる思いを致したことでございました。光明峰寺へ移されましたお櫃の中には新玉集の御稿本は終に一帖も見当らなかったのでございます。 いやもう一つ、わたくしが気を失....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
である。 「ホホウ、『ニーベルンゲン譚詩』――世界古典叢書だな。これはラスベルグ稿本の逐字訳で、英訳の中では一番価値の高いものなんだが」 と、ずしりと腕に耐え....
瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
喜び、善くも書かれたり、ゆるゆる熟読したきにつき暫時拝借を請うとありければ、その稿本を翁の許に留めて帰られしという。木村氏といい栗本氏といい、固よりこれを他人に....
幕末維新懐古談」より 著者:田村松魚
た。先生は、また、それを丹念に読んで、「これなら、よろしかろう」といって私にその稿本を戻して下すったのがすなわちこの本文である。ただし、先生は、私たち後進に対し....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
去歳庚子即ち天保十一年の)夏に至りては只朦々朧々として細字を書く事|得ならねば其稿本を五行の大字にしつ、其も手さぐりにて去年の秋九月本伝第九輯四十五の巻まで綴り....
十六、七のころ」より 著者:永井荷風
て亡友|井上唖々《いのうえああ》君を知ったのである。 その頃作った漢詩や俳句の稿本は、昭和四年の秋感ずるところがあって、成人の後作ったいろいろの原稿と共に、わ....