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穂先
「穂先〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
穂先の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
《さお》だった。が、今はいつのまにかどの穂も同じように狐色《きつねいろ》に変り、
穂先ごとに滴《しずく》をやどしていた。
「さあ、仕事でもするかな。」
Mは長な....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
した。その足音に早くも気のついた七兵衛は、小膝をついて危く身をかわしたので、槍の
穂先はがちりと土を縫った。その柄をつかんで起き直ろうとすると、相手はすぐに穂をぬ....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
お天気がつづいたので、日当りのよい斜面の雪はたいてい氷になっていた。おかげで槍の
穂先の登攀は愉快だった。しかし正月頃に登った人のカット・ステップの跡が残っている....
「長篠合戦」より 著者:菊池寛
冑の吹返し俯き、指物動かずば剛敵、吹返し仰むき、指物動くは、弱敵なり。 四、槍の
穂先上りたるは弱敵、下りたるは剛。 五、敵勢盛んなる時は支え、衰うを見て一拍子に....
「四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
忘れていた位。 不意に橋の上に味方の騎兵が顕れた。藍色の軍服や、赤い筋や、鎗の
穂先が煌々と、一隊|挙って五十騎ばかり。隊前には黒髯を怒らした一士官が逸物に跨っ....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
んで両側二列を造る。およそ十人。皆|崑崙奴の形相。手に手に、すくすくと槍を立つ。
穂先白く晃々として、氷柱倒に黒髪を縫う。あるものは燈籠を槍に結ぶ、灯の高きはこれ....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
月光下の箱根山 それは大変月のいい夜のことでした。 七月の声は聞いても、此所は山深い箱根のことです。夜に入ると鎗の
穂先のように冷い風が、どこからともなく流れてきます。 「兄さん。今夜のようだと、....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
げうっても、峰は水底に支えまい。 蘆のまわりに、円く拡がり、大洋の潮を取って、
穂先に滝津瀬、水筋の高くなり行く川面から灌ぎ込むのが、一揉み揉んで、どうと落ちる....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
それ、と胸|轟く。果せるかな。螽の飛ぶよ、と光を放ちて、小路の月に閃めきたる槍の
穂先霜を浴びて、柄長く一文字に横えつつ、 「来い!」とばかりに呼わりたる、国麿は....
「燕と王子」より 著者:有島武郎
に行って穂の出た茎先にとまりますと、かわいそうに枯れかけていた葦はぽっきり折れて
穂先が垂れてしまいました。燕はおどろいていたわりながら、 「葦さん、ぼくは大変な....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
ずれたせいもあろうが、それはほんのりとした夢である。一むらの薄が金線あざやかに、
穂先を月のおもてに靡かせる。薄の穂は乱れたままに、蓋から胴の方へ食みだして来る。....
「番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
た。なげしに掛けてある槍を卸すと、その黒い鞘は忽ち跳ね飛ばされて、氷のような長い
穂先が燈火に冷たく晃った。それを掻い込んで播磨は大股に表口へ飛んで出ると、二人の....
「悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
ったからであった。 市助まず喫驚して飛起きると、舳を蘆間に突込んだ拍子に、蘆の
穂先で鼻の孔を突かれて。 「はッくしょイ」 宗匠は又坊主頭を蘆の
穂先で撫廻され....
「「生活」+「戦争」+「競技」÷0=能」より 著者:癋見鈍太郎
兵の血で汚れておりますれば……」 といううちに、その武士は、かたわらの湖に槍の
穂先を浸して、ザブザブと洗い始めた。その武者振りの見事さに、相手は感に堪えて見惚....
「曲亭馬琴」より 著者:邦枝完二
京伝は、ひそかにこう呟《つぶや》きながら、十日近くも手にしなかった、堅い筆の
穂先を噛んでいた。 三 「ふふ、京伝という男、もうちっと気障《き....