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穏やか
「穏やか〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
穏やかの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
。牧野が始終御世話になりますそうで、私からも御礼を申し上げます。」
女の言葉は
穏やかだった。皮肉らしい調子なぞは、不思議なほど罩《こも》っていなかった。それだ....
「或る女」より 著者:有島武郎
うてはるか遠くまで連続して見渡されるロッキーの山々はもうたっぷりと雪がかかって、
穏やかな夕空に現われ慣れた雲の峰も、古綿のように形のくずれた色の寒い霰雲《あられ....
「或る女」より 著者:有島武郎
のようにはなつかなかった貞世もだんだんと岡と口をきくようになって、しまいには岡の
穏やかな問いに対して思いのままをかわいらしく語って聞かせたり、話題に窮して岡が黙....
「外科室」より 著者:泉鏡花
沈痛に、ある者は憂慮《きづか》わしげに、はたある者はあわただしげに、いずれも顔色
穏やかならで、忙《せわ》しげなる小刻みの靴《くつ》の音、草履《ぞうり》の響き、一....
「奈々子」より 著者:伊藤左千夫
にともされる。自分はまだどうしてこの世の人でないとは思われない。幾度見ても寝顔は
穏やかに静かで、死という色ざしは少しもない。妻は相変わらず亡き人の足のあたりへ顔....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ると海風と陸風との変わり目が来て、さすがに荒れがちな北国の冬の海の上もしばらくは
穏やかになる。やがて瀬は達せられる。君らは水の色を一目見たばかりで、海中に突き入....
「親子」より 著者:有島武郎
」 こう矢継ぎ早やに尋ねられるに対して、若い監督の早田は、格別のお世辞気もなく
穏やかな調子で答えていたが、言葉が少し脇道にそれると、すぐ父からきめつけられた。....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
殊に色白なその頬は寝入ってから健康そうに上気して、その間に形よく盛り上った小鼻は
穏やかな呼吸と共に微細に震えていた。「クララの光の髪、アグネスの光の眼」といわれ....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
や味のない古雅な色がなつかしい。省作は玉から連想して、おとよさんの事を思い出し、
穏やかな顔に、にこりと笑みを動かした。 「あるある、一人ある。おとよさんが一人あ....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
てる。 遥かに聞ゆる九十九里の波の音、夜から昼から間断なく、どうどうどうどうと
穏やかな響きを霞の底に伝えている。九十九里の波はいつでも鳴ってる、ただ春の響きが....
「橋」より 著者:池谷信三郎
子、黒の法衣の裾をつまみ、黒い洋傘を日傘の代りにさして、ゆっくりと歩いて行った。
穏やかな会話が微風のように彼女たちの唇を漏れてきた。 ――もう春ですわね。 ――....
「初雪」より 著者:秋田滋
?」 良人は幸福で、頑健で、ねッから欲のない男だった。こうして簡易な、健全な、
穏やかなその日その日を送っていれば、もうそれでよく、それ以外には望みというものを....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
より新紙を読むに、天下の論鋒ようやく進みて政教の版図に入り、舌戦、筆闘、壇上やや
穏やかならざる事情あるを見る。立ちて社会の風潮をうかがえば、政海の波ようやく高く....
「西航日録」より 著者:井上円了
日、ボンベイ港を発し、これよりインド洋に入る。四日(日曜)、五日、六日、風清く波
穏やかなり。かつ毎日天遠く晴れ、毎夜月高く懸かり、洋中の風光また一段の妙あり。七....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
るをもって、船中盛況を現す。 十五日、晴れ。暁来、暑気大いに加わる。風静かに波
穏やかなるも、シナ海のひろき、終日一物の目に触るるなし。 茫茫支那海、唯見水連遠....