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「穏当〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

穏当の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
そうですが、倉地さんに落籍《ひか》されてからもう七八年にもなりましょうか、それは穏当ないい奥さんで、とても商売をしていた人のようではありません。もっとも水戸の士....
鳥辺山心中」より 著者:岡本綺堂
た。 「兄の放埒も悪かろうが、遊興の場所へ踏ん込んで無理に引っ立てて帰るはちっと穏当でない」と、半九郎はなだめるように言った。「まあ堪忍してやれ。兄も今夜は後《....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
七は小声で注意をあたえた。いかに観音の寺内でも土地の者がみだりに刑罰を加えるのは穏当でない。万一あの中間が口惜しまぎれに舌でも食い切ったらどうするか。あるいは自....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ためにその比重が甚だ小さいにかかわらず大きな質量をもつであろうと考えるのはむしろ穏当であろう。 二重星の軌道が遊星のそれとは反対に非常に離心的であるという事実....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
。 近時、宗教否定の風潮が強いのに乗じ、「『最終戦争論』に予言を述べているのは穏当を欠く。予言の如きは世界を迷わすものである」と批難する人が多い由を耳にする。....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
気地がなくなっちゃう」 K・S氏は思ったより若く、才敏な紳士であった。身なりも穏当な事務家風であった。しかし、神経質に人の気を兼ねて、好意を無にすまいと極度に....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
そうかい、あんたの母様はな、何でもこのあたりに評判の美い女で、それで優しくって、穏当で、人柄で、まことに愛くるしい、人好のする、私なんか女じゃが、とろとろとする....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
くような優れた通信、優れた現象は獲られそうもない。断食に対する注意なども、非常に穏当な意見である。バラモン式の難行苦行が、寧ろ百弊の基であることは、私自身の経験....
化鳥」より 著者:泉鏡花
いて、帰ると、御飯を食べて、そしちゃあ横になって、母様の気高い美しい、頼母しい、穏当な、そして少し痩せておいでの、髪を束ねてしっとりしていらっしゃる顔を見て、何....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
山の中でどんな新家庭を作っているかということにも一種の興味――と申しては、ちっと穏当でございませんが、まあどんな様子か、一度は見て置きたいような心持にもなったの....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
だと言って打たれたのだから、ひょっとしてそれが本当だったら、彼を尊敬するのは至極穏当な話で、全くそれに越したことはない。でなければまた左のような意味があるかもし....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
るように……」 「よろしい」と、コスモは微笑しながら付け加えた。「それはまったく穏当な条件だ」 「では、どうぞお間違いのないように……」と、売りぬしは念を押した....
深見夫人の死」より 著者:岡本綺堂
と一緒に、桐沢氏の鎌倉の別荘へ転地することになったというのである。それはまことに穏当の解決であるが、あれほどに意気込んでいた兄の透がそれに対してなんの苦情も言わ....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
るなかで、葬儀を終始熱心に手伝いをした彼の行動を、いたずらに白い眼でのみ見るのは穏当でない。さすがに新派の頭領だけあると、わたしは思った。川上が死んだ後、新派は....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
に両者の協調を見る事が出来なかった。 我が国に於ては「統帥権の独立」なる文字は穏当を欠く。「天子は文武の大権を掌握」遊ばされておるのである。もとより憲法により....