空き[語句情報] »
空き
「空き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
空きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
少しもこだわらずに返事をした。
「じゃもう一週間前に来りゃ好いのに。あすこに少し
空き地が見えるね。――」
それは赤煉瓦の西洋家屋の前、――丁度あの枝のつまった....
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
間を左へ曲った。けれどもお墓は見当らなかった。のみならず僕の見覚えていた幾つかの
空き地さえ見当らなかった。
「聞いて見る人もなし、………困りましたね。」
僕は....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
色《けしき》は見えなかった。刑場はちょうど墓原《はかはら》に隣った、石ころの多い
空き地である。彼等はそこへ到着すると、一々罪状を読み聞かされた後《のち》、太い角....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
の赤い蛍《ほたる》が何匹もすがっていたと言うことです。もっともそのまた「朝日」の
空き箱には空気を通わせるつもりだったと見え、べた一面に錐《きり》の穴をあけてあっ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
てしまった。彼は眠を破られた人の腹立たしさを感じながら、柏の下に草を敷いた林間の
空き地へ眼を落した。するとそこには三人の女が、麗《うら》らかな日の光を浴びて、木....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
罎を、次郎どのの狗ではないが、皆なめてしまうのではなかったものを。大歎息とともに
空き腹をぐうと鳴らして可哀な声で、姐さん、そうすると、酒もなし、麦酒もなし、肴も....
「火薬船」より 著者:海野十三
つけた。 ハルクは、虫の息だった。体は、火のようにあつい。竹見は、おどろいて、
空き瓶の中に入れて持ってきた水で、彼のくちびるをうるおしてやった。 ハルクは、....
「雷」より 著者:海野十三
れを抵当流れで実は建築主から受取ったものの、自分はこの町に住むつもりはないので、
空き家にして放っておくより法がない有様である。もし差支えなかったら、焼け出された....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
うなれば、面を背けて走り入りぬ。 人大方は来揃いたり。桟敷の二ツ三ツ、土間少し
空きたる、舞台に近き桟敷の一間に、女はわれを導きぬ。 「坊ちゃん、じゃあね、ここ....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
う」 阿Qは近来生活の費用に窘しみ内々かなりの不平があった。おまけに昼間飲んだ
空き腹の二杯の酒が、廻れば廻るほど愉快になった。そう思いながら歩いていると、身体....
「故郷」より 著者:井上紅梅
、この老屋の中にあった大小の我楽多道具はキレイに一掃されて、塵ッ葉一つ残らずガラ
空きになった。 船はずんずん進んで行った。両岸の青山はたそがれの中に深黛色の装....
「暗号数字」より 著者:海野十三
号手引によって、駅前の菊屋食堂に入って調べなければならぬとすると、ここは我慢して
空きっ腹にして置く方が便利であったのだ。 菊屋食堂は、大きな看板が出ているので....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
、渠等の慌て騒ぐのを可笑がる……その寺の棟に寄った時は真の火である。城に近いのは
空き煙だ、と言伝える。 ちょうど真中であった。森の砕けて、根の土を振うがごとく....
「透明人間」より 著者:ウェルズハーバート・ジョージ
もはもう、五日もお勘定をまっておりますよ」 「な、なにを言うんだ。人をぺこぺこの
空きっ腹にさせておいて……け、けしからん。じつにけしからん」 「けしからんのは、....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
当った。そして旅順の八島町にバラックながらも一軒の家を建て、こけおどしにビールの
空きびんなどをずらり並べた菊屋洋行という雑貨店を始めたのである。私は大いに気をよ....