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空く
「空く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
空くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
った、万感|交々《こもごも》胸に迫るとは此の様な場合を云うだろうか。勿論腹は益々
空く一方だが、寒さも追々に強く感ずる、何しろ腹に応えがなくては寒さを凌ぐ力もない....
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
まの山雀は、瓢箪を宿とする。こちとらの雀は、棟割長屋で、樋竹の相借家だ。 腹が
空くと、電信の針がねに一座ずらりと出て、ぽちぽちぽちと中空高く順に並ぶ。中でも音....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
事。」 と主税は帽子の前を下げる。 「まあさ、そんな中へ来やあがって、お剰に、
空くのを待っていた、と云う口吻で、その上横柄だ。 誰の癪に障るのも同一だ、と見....
「三狂人」より 著者:大阪圭吉
亘って急速な捜査をしはじめた。 恰度その頃、松永博士の所謂「興奮の鎮まって腹の
空く時期」とでも云うのがやって来たのか、市内を縦貫しているM川の附近で、もう一人....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
かせてあるく。そうして、その籤の番号によって景品をくれるのであるが、そのなかには
空くじもたくさんある。中ったものには、安物の羽子板や、紙鳶や、羽根や、菓子の袋な....
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
衣嚢を探りて先刻のコロップを取出し宛も初めて胡桃を得たる小猿が其の剥方を知ずして
空く指先にて拈り廻す如くに其栓を拈り廻して「何にしても此青い封蝋が大変な手掛りだ....
「メデューサの首」より 著者:小酒井不木
生」 と、彼女は診察用ベッドに相も変わらず仰向きになったまま、わたしの顔を孔の
空くほど見つめて申しました。 「わたしのお腹の中にはたしかに恐ろしい怪物が宿って....
「雪の夜の話」より 著者:太宰治
さんは、ことしの夏に赤ちゃんを生むのよ。おなかに赤ちゃんがいると、とてもおなかが
空くんだって。おなかの赤ちゃんと二人ぶん食べなければいけないのね。お嫂さんは私と....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
、夏も冬もたった一枚の衣でおっ通したほど、無慾枯淡な生涯を送ったものだった。腹が
空くと、衣の裾をからげて水に入り、海老や、貝といったようなものを採って、うまそう....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
突然、数丈もある氷塔が頭上に落ちてくるだろう。また、なにもない足下に千仭の氷罅が
空くだろう。なんていうのがザラだろうという訳も、すべてあの氷河の猛速の禍いだ。そ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
。そこにはまた交通巡査のように冷静な猶太人の給仕長があった。通路に屯営して卓子の
空くのを狙っている伊太利人の家族|伴れがあった。そのなかの娘は待ってる時間を利用....
「関牧塲創業記事」より 著者:関寛
も更に何の感も無く、亦|喰物に味無く、只恍惚たるのみ。餘作にも語り合い、此儘にて
空く沈欝に陥る時は、或は如何に転変するに至らん乎と、自らも此れを案じ、餘作も共に....
「薬」より 著者:井上紅梅
華大媽はそばへ来てこっそり訊ねた。 「小栓、少しは楽になったかえ。やッぱりお腹が
空くのかえ」 「いい包だ。いい包だ」 と康おじさんは小栓をちらりと見て、皆の方....
「ヒウザン会とパンの会」より 著者:高村光太郎
はカウンター台の上に土で作ったライオンの首が飾ってあって、何ガロンかビールの樽が
空くと、その度毎にライオンが「ウオ ウオ」と凄じい呻り声を発する仕掛であった。 ....
「奥州における御館藤原氏」より 著者:喜田貞吉
奥州貢金の事、明年の御元服料と云ひ、院中の御用と云ひ、旁所用等あり。而して泰衡
空く以て懈怠す、尤も奇怪の事なり。早く催進せしめ給ふべし。且は又国司に仰せられ畢....