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空しき
「空しき〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
空しきの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
忽ち高く聞える。忽ち聞えるは始めて海の鳴るにあらず、吾が鳴りの暫らく已《や》んで
空しき心の迎えたるに過ぎぬ。この浪の音は何里の沖に萌《きざ》してこの磯の遠きに崩....
「芽生」より 著者:島崎藤村
、この新開地へ引移って来たか、と思って見た。つくづく私は、努力の為すなく、事業の
空しきを感じた。 眺め入りながら、 「芽生は枯れた、親木も一緒に枯れかかって来....
「倫敦塔」より 著者:夏目漱石
ょうごう》とを天地の間に刻《きざ》みつけたる人は、過去という底なし穴に葬られて、
空しき文字《もんじ》のみいつまでも娑婆《しゃば》の光りを見る。彼らは強いて自《み....
「蠅男」より 著者:海野十三
ているのだ。罪の父はただひと目、御身の顔を見たいと切望するが、その願いも今はもう
空しき夢と諦めなければならないのかもしれない、噫!」 帆村の読みあげる天才ドク....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
いる。この訊問こそ支倉の万策尽きた今日、残された唯一の頼みの綱で、冤枉八年の叫び
空しきか、将又空しからざるか正々この一挙で決するのだ。彼は獄窓裡に或いは喜び、或....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
才覚しすまして旦は町内のつきあいに我も漏れず、一日を他愛もなく興じ暮らして嚢中の
空しきを悔いざる雅懐は、蓋し江戸ッ児の独占するところか。 上げ汐の真近時になる....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
然にして、原始的なるわれらに最も近き認識である。鏡のごとく清らかに、小児のごとく
空しき心にただちに映ずる実在の面影である。 知的直観とは純粋経験に於ける統一作....
「詩の原理」より 著者:萩原朔太郎
疑の続出であり、永久にいつまでたっても、最後の結論に到達することのできないもの、
空しき無限軌道の努力にすぎないように思われる。 しかしこうした懐疑的思索の中で....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
まわりを見廻した。もしやお千の姿がそこに帰ってきていはしないかと思ったが、それは
空しき夢であった。彼女の寝床は、昨夜のとおり藻ぬけの殻であった。 ただ彼は、枕....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
の階の下に、ただ一人、褄を折り緊め、跪いて、天女を伏拝む女がある。 すぐ傍に、
空しき蘆簀張の掛茶屋が、埋れた谷の下伏せの孤屋に似て、御手洗がそれに続き、並んで....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
と、「見し人」とは同一人である。「人」は後に、「根はふ室の木見し人」、「人も無き
空しき家」といってある如く、妻・吾妹子の意味に「人」を用いている。旅人の歌は明快....
「博物誌」より 著者:岸田国士
軽い羽蒲団に乗って、静かに白鳥は漕ぎながら、その方に近づく……。 彼は水に映る
空しき影を追うて疲れ、雲ひときれを捕える前に、おそらくはやがてこの妄想の犠牲とな....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
て進めり。
パンの大神を祭れるなり。
誰一人知らぬ事を、彼人々は知れり。
かくて
空しき境に進み入るなり。
富の神
己はお前達を知っている。パンの神も知っ....
「彼が殺したか」より 著者:浜尾四郎
田剛、仁兵衛、お種、お春を、公判廷に喚問せられたき旨を申請したのでした。 私の
空しき努力は今や、瀕死の二人が叫んだ言葉の解釈一点に向けられたのです。結局その中....
「名もなき草」より 著者:小川未明
毎日、幾何の人間が、深き省察のなかったがために、また自からを欺いたがために社会の
空しき犠牲となりつゝあるか。そして、彼等の狂騒と私等は、この人生にとって畢竟、い....