空っ風[語句情報] » 空っ風

「空っ風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

空っ風の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
冬の日」より 著者:梶井基次郎
んなものまで見ているのだった。 「何をしに自分は来たのだ」 街へ出ると吹き通る空っ風がもう人足を疎《まば》らにしていた。宵のうち人びとが掴《つか》まされたビラ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
く調べてくれ」 善八を出してやって、ふたりは下谷の稲荷町へ足を向けた。朝からの空っ風が白い砂けむりを吹き巻いている広徳寺前をうろついて、ようように香具師の富蔵....
霜凍る宵」より 著者:近松秋江
れもならず日を送るうち一月の中旬を過ぎたある日のことであった。陰気に曇った冷たい空っ風の吹いている日の午前、内にばかり閉じ籠っていると気が欝いで堪えられないので....
安重根」より 著者:谷譲次
る。なあ、これから九月、十月、十一月もなかばになると、満洲の冬は早いです。名物の空っ風が、ぴゅうっ、ぴゅうっ、ねえ、朝起きてみると、白いものが地面に下りて、霜だ....
東京要塞」より 著者:海野十三
非常警戒 凍りつくような空っ風が、鋪道の上をひゅーんというような唸り声をあげて滑ってゆく。もう夜はいたく....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
ここらは積もっていませんね。」 「へえ。積もるほども降りませんが、なにしろ名物の空っ風で……。」 言いかけて、若い者は急に立ちあがって入口の硝子戸をあけた。若....
近藤勇と科学」より 著者:直木三十五
二人は馬から降りた。隊土達は、人々に案内されて、寺に、大家に、それぞれ宿泊した。空っ風に、鼻を赤くして、のりの悪い白粉《おしろい》を厚くつけた女が、町中を走り歩....
大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
! こいつアお前の行李じゃねえか」 団十郎は冷やかに、 「十九年前の春のこと、空っ風の吹く正月の朝、すこし心願があったので供も連れず起き抜けに観音様まで参詣す....
」より 著者:岡本綺堂
して、またふた月あまりも過ぎると、十二月の末の寒い日である。ゆうべから吹きつづく空っ風に鼻先を赤くしながら、あの金兵衛がまた駈け込んで来た。 「御隠居さま、一大....
双面獣」より 著者:牧逸馬
シイの手を引いて歩いて行った。一九二八年一月十二日木曜日の朝のことで、雪を孕んだ空っ風が米国ミシガン州マウント・モウリスの町を吹き捲り、地面には薄氷が張っていた....
老狸伝」より 著者:佐藤垢石
あるかも知れぬ。 九 ある年の冬、厩橋城下に失火があった。折柄、上州名物の空っ風が吹きすさんで、火は八方にひろがった。町の人々は、必死となって防火に努めた....
小説 円朝」より 著者:正岡容
いっぱいたたえて睨んでいた。「桂文楽」一枚看板の灯はとうに消されていたが、ひどい空っ風に吹き曝されて夜目にも仄白く見えるその行燈は、カタカタ寂しい音立てて揺れて....
悪魔の聖壇」より 著者:平林初之輔
たものかおぼえませんが、いつのまにか私は四谷見付のところへ来ておりました。冷たい空っ風が吹いて、外套も着ていない私には寒さがしみじみと身にしみました。ふと橋の袂....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
て、河竹黙阿弥が本所南二葉町の自宅で、七十八歳の生涯を終った。その日は日曜日で、空っ風の吹く寒い日であった。 その頃は無休刊の新聞はないので、どの新聞も月曜は....
追放されて」より 著者:神西清
。したい放題さ。でも奥さんは長くは一緒にいなかった。思ってもみな。粘土だ、水だ、空っ風だ、野菜もなけりゃ果物もねえ。ぐるりを見りゃ無教育な手合だの酔っ払いだのば....