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「空井〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

空井の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
十二支考」より 著者:南方熊楠
師子王あり、五百師子の主と作《な》りたり、後時老いて病痩眼闇、諸師子前にありて、空井中に堕《お》つ。五百師子皆捨離し去る、爾時《そのとき》一野干あり、師子王を見....
俘囚」より 著者:海野十三
云うな。そんなことア無い」 「いえ本当でございますよ。あれは屹度《きっと》、あの空井戸《からいど》からでございますわ。あなたがお悪いんですわ。由緒《ゆいしょ》あ....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
ったかな」 「分からねえとよ。中隊でも大騒ぎして、平服で出る、制服で出る、何でも空井戸を探してるちゅうこンだ」 「窘められたンですかね?」 「ナニ、中隊では評判....
道標」より 著者:宮本百合子
・メスト》が見えないのに気がついた。赤い広場のその方角に、いつも灰色の大きい石の空井戸のような円形の姿をみせて、そこでツァーが首斬った人民の歴史を語っている|首....
少年探偵長」より 著者:海野十三
まった。 「さあ、なんとかして、この空っぽの井戸からあがらなくては」 見ると、空井戸の底には、横向きの穴があった。人間がやっとくぐってはいれるほどの穴だった。....
時計屋敷の秘密」より 著者:海野十三
》らしかった。 八木君目ざめる 話は、八木のことにもどる。 八木君は、空井戸《からいど》の中にひとりぽっちとなり、心細くなっていた。空井戸の底から上を....
人造人間エフ氏」より 著者:海野十三
の子のこえとわかって、彼はややおちついた。さっきから、まっくらな、このしめっぽい空井戸の底みたいな中で、きゃあきゃあいっていたのは、この女の子だったんだ。とたん....
太平洋魔城」より 著者:海野十三
こだろう」 あたりをずっと見まわした。 そこは、コンクリートでかためた四角な空井戸の中のようなところだった。壁はびしょびしょに水でぬれている。ふしぎなのは、....
パラティーノ」より 著者:野上豊一郎
墓と称するものがある。大きな石を楕円形に円筒状に畳み上げたもので、ちょっと見ると空井戸かと思われるような形で、そういわれなければ墓とは気づかない。ローマ創始者の....
加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
年を案内した。 館を出ると荒野である。二人は荒野を歩いて行く。 やがて一つの空井戸へ出た。空井戸だから水がない。そうして井戸の一方の側に不細工に出来た階段が....
沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
を行き尽くし、ようやく地上へ出て見れば、そこは案外にも金雀子街の、他人の家の庭の空井戸であった。そしてもう夜は明けていた。……(備忘録終り――) その翌日のこ....
活人形」より 著者:泉鏡花
く老婆を縛りてまた雑具部屋へ引取りしを、知る者絶えて無りけり。それより泰助は庭の空井戸の中にお藤を忍ばせ、再び雑具部屋へ引返して旧のごとく死を粧い、身動きもせで....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
…… これもその廻り燈籠の影絵の一ツ。 昔、楼の岸にあった古柳の名残とかいう空井戸の側に、夜目にもしるきといいたい女が、褄を折って腰帯に結び、手拭の端をつま....
大岡越前」より 著者:吉川英治
、越前守を睨めすえたものの、もう怨みや悪罵は吐き尽している。涸れて汲むもののない空井戸に似た心が、空しさを、ただ唇にわななかせ、涙と身悶えに、声なき反抗を、示す....