空名[語句情報] »
空名
「空名〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
空名の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
序立てて述べないと主人がいかに逆上しているか分りにくい。分りにくいと主人の逆上は
空名に帰して、世間からはよもやそれほどでもなかろうと見くびられるかも知れない。せ....
「善の研究」より 著者:西田幾多郎
用の外にない、この統一がかわれば自己もかわる、この外に自己の本体というようの者は
空名にすぎぬのである。我々が内に省みて一種特別なる自己の意識を得るように思うが、....
「創作家の態度」より 著者:夏目漱石
か商人とか、法律家とかから区別される以上は、この名称は単に鈴木とか、山田とか云う
空名と見る訳には行かない。内実においてそれ相当の特性があって他の職業と区別されて....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
一、むしろ宗教上の専制はほとんど国民と言える感情を破壊し、政府なるものはただその
空名を擁して実権を有せざるに至る、この無政府的禍乱に反動して起こりたるものはかの....
「選挙に対する婦人の希望」より 著者:与謝野晶子
なりません。二氏の「秉公持平の善政」というのは何らの具体的政見も伴わない支那流の
空名虚辞に過ぎないのですからまだ少しも政論の域に入っていないものだと思います。一....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
質問係というを申付けられたが、その頃の事であるから誰も質問に来る者は無いので全く
空名であった。それもそのはず博士あたりの講義をせらるる時さえも出席する者は僅の人....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
は名前もなく、年齢もなく、雌雄《しゆう》の性もなく、彼らにとってはもはや善も悪も
空名であって、幼年時代を過ぎるや既に世に一物をも所有せず、自由をも徳義をも責任を....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
間の繁文縟礼で、猫は名を呼ばれたって決して喜ばない、」といっていた。こんな処にも
空名虚誉を喜ばない二葉亭の面目が現れていた。 最一つ不思議な事は、この位に猫や....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
る一代の奇矯児寿安老人であった。局長といい課長といい属官というは職員録の紙の上の
空名であって、堂々たる公衙はあたかも自大相下らざる書生放談の下宿屋の如く、局長閣....
「反キリスト教運動」より 著者:小川未明
どれだけの真面目さがあるのか。どれだけの真剣さがあるのか。現実の戦争を廻避して、
空名の愛とか人道とかに隠れるというのは、何という卑怯さであるか。本当の愛であった....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
粋をあつめ、万華鎌倉の楽園を、一代に創って、その中で生涯する。……なんで、朝廷の
空名などを、物欲しげに」 と、嘲侮をうかべ、 「さるによ」と、やや怒ッた青すじ....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
「はい」 「ならば、王政一新の実はどこにおくか。幕府を廃め、政を古に回すなどは
空名になる」 「さは相なるまいかと思いまする」 「どうして」 「上おんみずから、....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
は、どうしようもない。 彼は、あらたな苦慮をまたかさねていた。いまや北朝は空位
空名でしかない。しぜん幕府も自己の立場も空疎なものに浮いてしまう。 八月。 ....