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空咳
「空咳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
空咳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「南島譚」より 著者:中島敦
公たる哀れな男は、どうやら、此の後《あと》の方の病気にかかっていたらしい。絶えず
空咳《からぜき》をし、疲れる。アミアカ樹の芽をすり潰して其の汁を飲んでも、蛸樹《....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
半分、扉のすきから覗《のぞ》きこんだ。
「なに、なんの用できたね」ケルミッシュが
空咳《からぜき》をした。見るとなんだか、不味《まず》いものがいっぱい詰まったよう....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
レヴェズと向き合わせの長椅子に腰を下した。すると、まずレヴェズの方で、老獪そうな
空咳を一つしてから切り出した。
「時に、先刻遺言書を開封なさったそうですな。する....
「光と風と夢」より 著者:中島敦
という形態をとって生れて来たという一層特殊な事情に比べればね、と笑いながら、軽い
空咳《からせき》をした。 之は抗《あらが》い難きニヒリズムである。家に帰って寝....
「奇賊は支払う」より 著者:海野十三
のでしょう。家内にそういって、家へ連れ戻さねばなりません」 探偵は自分の迂闊を
空咳に紛らせておいてから、さて主人の耳に囁いた。 「実はその、繭子夫人を隠匿して....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
て、ハッと気がついたのではもう遅い。 こういう場合には、こちらに好意があらば、
空咳《からせき》をするとか、生あくびをするとかなんとかして、相当、先方に予備認識....
「露肆」より 著者:泉鏡花
う、香味、口中に遍うしてしかしてそのいささかも脂が無い。私は痰持じゃが、」 と
空咳を三ツばかり、小さくして、竹の鞭を袖へ引込め、 「この煙草を用いてから、とん....
「風立ちぬ」より 著者:堀辰雄
ある病室の中から、異様な、ついぞそんなのはまだ聞いたこともないような気味のわるい
空咳が続けさまに洩れて来るのを耳にした。「おや、こんなところにも患者がいたのかな....
「生あらば」より 著者:豊島与志雄
喉のあたりに長く引いた吸気の痰に妨げらるる音がした。そして殆んど本能的に幾つもの
空咳が為された。呼吸の数が不斉になり、頬の赤みが増してくる。そして喉にからまる痰....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
、一人は袋の上に、疲れはててがっかりして腰を降ろしていたが、その時階段に、小さな
空咳《からせき》が聞こえた。扉《とびら》をたたく音がした。オイレル老人がはいって....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
味線を弾いて、小唄をうたったじゃアありませんか」 隣室からは返事がなく、幽かな
空咳が聞こえてきた。 不平そうにあやめは立ち上ったが、開けられてある障子の間か....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
て
「東西東西、この場の模様は、いかがに相成りまするか」
「えへん」
一人が、
空咳をした時、小太郎は後方に人の動きを感じた。振向くか、向かぬかに、跳りかかる一....
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
わるいのねと言った。 そう図星を指されてカテリーナ・リヴォーヴナは、出まかせに
空咳を一つしてみせ、期待のまなこで客間のドアを見やった。そこではただ床板が、みし....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
を、舌で捏ねて、ねッつりと歯をすかす、言のあとさきは、咽喉の奥の方で、おおんと、
空咳をせくのをきっかけに、指を二本鼻の下へ当てるのです。これは可笑しい。が、みつ....
「帯広まで」より 著者:林芙美子
も静まって、雨だれの音が聴えて来る。階下では何も彼も知っている神さんがこんこんと
空咳をしていた。 「電話をかけてよこした処で、結局どうにもならないじゃないか。四....