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「空室〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

空室の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
前髪にも隠れない、鋭い瞳は、屹と長廊下を射るばかり。それが跫音を密めて来て、隣の空室へ忍んだことを、断って置かねばならぬ。こは道子等の母親である。 ――同一事....
三狂人」より 著者:大阪圭吉
ぎなかった。 締め切った窓に蜘蛛の巣が張り、埃の積った畳に青カビの生えたような空室が数を増すにつれて、赤沢医師の気持も隠しきれない焦燥に満たされて来た。いつか....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
「ところで熊城君、指紋は?」 「説明のつくものなら無数にある。それに、昨夜この空室に被害者を入れた時だが、その時寝台の掃除と、床だけに真空掃除器を使ったという....
観画談」より 著者:幸田露伴
て導いた。後に跟いて縁側を折曲って行くと、同じ庭に面して三ツ四ツの装飾も何もない空室があって、縁の戸は光線を通ずるためばかりに三|寸か四寸位ずつすかしてあるに過....
魔法修行者」より 著者:幸田露伴
ろい。 長頭丸が時※とした、すっきりとした、塵雑の気のない、平らな、落ついた、空室に日の光が白く射したような生活のさまが思われて、飯綱も成就したろうが、自己も....
見えざる敵」より 著者:海野十三
か低い唸り声を聞いたように思ったが、室内を探してみると、猫一匹いなかった。全くの空室だった。 「いいかね。ウルランド氏は室内に入ると、内側から鍵をかけて、上衣を....
英本土上陸作戦の前夜」より 著者:海野十三
けていくがいい。娑婆じゃ、いくら空襲警報が鳴ろうと、これまでのように、君を地下防空室へ連れこんでくれるわしのような世話役はついていないのだからよく考えて、自分の....
火星兵団」より 著者:海野十三
れてしまった。 「どうも、わからない!」 新田先生は、蟻田博士の秘密にしている空室のまんなかにしゃがんだまま、とけないこの部屋の謎を、じっと考えこんだ。 だ....
東京要塞」より 著者:海野十三
いえないことだが、君がいま行っている仕事場は、ひょっとすると何かわが警備関係の防空室とかいう筋合のものではないのかね」 「ええ、それは――」 「もしそうだとする....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
かったらしい。ただ信也氏が手を掛けて試みなかったのは、他に責を転じたのではない。空室らしい事は分っていたから。しかし、その、あえてする事をためらったのは、卑怯と....
神サマを生んだ人々」より 著者:坂口安吾
から久々に一夜温泉につかってノンビリしようと志したところが、今日は土曜日で全市に空室が一ツもないという返事じゃないか」 「なるほど。わかりました。では御案内いた....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
に、密閉された熱気でムッと噎せ返るような臭気を、真近に感じた。前方は二十畳敷程の空室で、階下の板敷と二階の床に当る天井の中央には、関東風土蔵造り特有とも云う、細....
活人形」より 著者:泉鏡花
込めば、「それお客様御案内と、得衛の知らせに女房は、「こちらへ。と先に立ち、奥の空室へ銀平を導き行きぬ。道々|手筈を定めけむ、八蔵は銀平と知らざる人のごとくに見....
西航日録」より 著者:井上円了
に着す。時まさにパリ・シーズンと称し、市内のホテルたいてい旅客充満して、ほとんど空室なし。したがって旅宿料廉ならず。余はあまたのホテルを照会して、ようやく最廉の....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
一時半、コペンハーゲン市に着船す。税関の検閲を終わりて旅店を探るに、たいていみな空室なし。一時後ようやく入宿す。 七日、晴れ。終日市内を散歩し、王宮、市庁、寺....